彫刻家の宇津孝志さん(68)=富山市婦中町速星=は今秋、手のひらサイズの鋳物の天神様を制作した。洋風化が進んだ現代の住宅に合うようコンパクト化を目指した。「新型コロナウイルス禍で仕事も展覧会も減った。これを機に新しい創作に力を入れた」と話す。
宇津さんは元県彫刻家連盟委員長。木彫を手掛け、日彫展や日展で作品を発表している。
一般的な大きさの木彫の天神様を作ってきたが、今は床の間のない家が増え、時代のニーズに合わせる必要性を感じていたという。木彫ではまとまった数を生産することは難しいため、鋳物で作ることにした。
原型は宇津さんが手掛け、鋳造は高岡銅器の職人に依頼した。漆塗りの台や木製のぼんぼりもあり、それぞれ高岡漆器、庄川挽物(ひきもの)木地の職人の協力を得た。
天神様はスズ製、ブロンズ製のほか、ブロンズの上に金箔(きんぱく)を貼ったものもあるため、色のバリエーションは金銀銅の3種類。天神様のサイズも幅8~15センチの3種類をそろえた。
12月に富山大和で開く個展で展示する。「天神様を飾るという古き良き風習が残る手助けになればいい」と語った。