2種免許 英語で受験 バス・タクシー 外国人材活用へ 茨城県内開始 対話や安全教育課題

「2種免許」で英語の学科試験が始まった県運転免許センター=茨城町長岡

バスやタクシーの運転に必要な「2種免許」の学科試験が、本年度から英語で受験できるようになった。人材不足を背景に全国で進められる取り組みで、茨城県運転免許センター(茨城町長岡)で今月24日に開始した。今後は外国人運転手が増加するとみられるが、利用客との対話スキルや安全教育など課題も少なくない。

2種免許は、路線バスやタクシーなど旅客運送車両を運転するために必要な免許で、普通、中・大型など5種類ある。学科試験では、基本的な交通規則の問題に加え、タクシーや路線バスなど旅客車両の安全運行についても出題される。

同センターによると、県内の2種免許取得者は昨年11月末時点で約3万6千人。うち外国籍は96人で1%にも満たない。

人手不足や残業規制強化による「2024年問題」で、バス会社や物流業界では運転手不足が深刻化する。このため政府は3月、外国人労働者を中長期的に受け入れる特定技能制度の対象に、バスやタクシー、トラック運転手を含む自動車運送業を追加することを閣議決定した。

同センターは「普通1種免許」の学科試験で、すでにポルトガル語、中国語、ベトナム語を導入。2種免許試験のさらなる多言語化について、菅谷順一副参事兼理事官は「県内の外国人の居住実態や要望に応じて総合的に判断していく」と話した。

英語での2種免許試験導入で、外国人運転手は次第に増加するとみられるが、事業者には期待と不安が入り交じる。

県ハイヤー・タクシー協会によると、県内のタクシー運転手数はコロナ禍前に比べ約2割減った。ただ、外国人運転手の採用については「事業者の反応はさまざま」(同協会幹部)。

人手不足の軽減をはじめ、英語スキルを生かした外国人観光客の接客など一定の利点がある半面、業界内では主に日本人乗客との意思疎通や、2種免許取得後に社内で十分な安全教育ができるのかなど、懸念する声が上がっているという。

県内バス会社の担当者も社内教育を課題に挙げるが、「将来の外国人材の活用に向け、今後に期待している」と話した。

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