クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2019年11月26日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 マツダの藤原清志副社長のインタビューに基づいた解説記事の第2弾は、ラージプラットフォームの話である(第一弾、「藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?」はこちら)。

2年前の東京モーターショーで出品されていた『VISION COUPE』。単なるコンセプトモデルではなく、直6ラージプラットフォームを使った新型車として、市販化計画があることを突き止めた

北米マーケットを見据えた戦略

 現在マツダは第7世代商品群をスタートさせたばかり。すでにMAZDA3CX-30がデビューしている。これはスモールプラットフォームと呼ばれるFF用シャシーであり、MAZDA2(旧デミオ)とMAZDA3を中核としたBセグメント、Cセグメント用のプラットフォームである。

 この上に位置するCX-5とCX-8、中国向けのCX-4、北米向けのCX-9、そしてMAZDA6については、すべてラージプラットフォームと呼ばれる別のシャシーをデビューさせる予定だ。マツダは第6世代をスタートさせる時、コモンアーキテクチャー構想によって、全てのクルマを同じ考え方で設計し、同じラインで混流生産することを目指した。その改革を成功させることで、破綻寸前の経営から脱却した。

 しかし、その成功によって、生産・販売台数が伸張した結果、全ての製品を同じラインで混流生産する意味が薄れ始めた。200万台に向けて考えれば、もう少しシャシーの役割を個別に変えたい。特に今マツダが力を入れている北米での商品力を考えると、FF+4気筒をベースに置いていたのでは、商品性が足りない。

 日本人には想像し難いが、北米では4気筒は安物というイメージが強い。V8が好まれるお国柄を考慮すれば、多気筒化しないと、ハンデを負った状態で戦わなくてはならなくなる。

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