コロナ禍で飲食業界は「格差社会」に? スシロー・コロワイド・鳥貴族に学ぶ、生き延びるカギ小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ)

» 2021年05月27日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

 本記事の原稿を書いている時点で、緊急事態宣言発出が10都道府県に出されている。3大都市圏を中心に、コロナ禍による経済活動への制約が再び拡大しつつある状況だ。大都市の百貨店は生活必需品の範囲を拡大して営業している店舗も増えたようだが、外食店に関しては、時短制約に加えて、アルコール類の提供ができなくなっている。このことから、今回のダメージはこれまでにも増して厳しいものになっているようだ。

 変異株への置き換わりもあってか、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置も、しばらくは解除も難しそうであり、さらなる長期戦となる可能性もある。そんな中、本格的に経済への影響が大きくなったコロナ禍の年度ともいえる2020年度が終わり、多大な影響を受けた外食企業の決算も出そろった。今回はそんな外食企業の決算状況から、あらためてコロナの影響について考えてみることにしたい。

 図表は主な外食企業の業績(売上高増減率、営業利益率)を並べたものだが、業態によってコロナ禍の影響がまちまちなのが分かるだろう。

各社IR資料より筆者が作成

 まず、このコロナ禍でも、日本KFC、モスフードサービス、日本マクドナルド、物語コーポレーション、FOOD&LIFE COMPANIES(スシロー)、くら寿司は、増収かつ営業黒字を達成しており、洋食ファストフード、焼肉、回転寿司がコロナに強いジャンルだったという結果となった。

 逆に、大きなダメージを受けたのが、居酒屋各社とロイヤル、セブン&アイフードのファミレス、ラーメンの日高屋、幸楽苑などとなった。ロイヤルに関しては、ファミレス「ロイヤルホスト」のイメージが強いが、実は施設内(空港、サービスエリアなど)のレストラン運営、ホテル事業、機内食事業といった旅行レジャーと密接した事業も手掛けており、これらのセグメントの落ち込みが大きく影響した。セブン&アイフードも施設内レストランの比率が高いことが凶と出た。なお、ラーメン中心の業態は汁物特有のテークアウトしづらい点が減収につながったとされる。

 ただ、個別には事情はあろうが、コロナの影響が業態によってこんなに違うのはなぜだろうか。

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