丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2022年02月22日 11時43分 公開
[窪田順生ITmedia]

 丸亀製麺からすれば、「これいつまで叩かれ続けられないといけないの?」とゲンナリしているのではないか。

 2月20日、J-CASTニュースが報じた『丸亀製麺が「本場」香川で苦戦 県内残り1店舗に「地元のうどん屋が強すぎる」の声』という記事が話題になったことを受けて、かれこれ10年もの間、ことあるごとに炎上を繰り返してきた例のネタが再び蒸し返されてしまったからだ。

 それは“丸亀製麺、実は丸亀と全く関係ナシ問題”である。

 あまりにも有名な話なのでご存じの方も多いだろうが、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスは兵庫県が発祥で、創業時は焼き鳥屋である。「讃岐うどん」の本場である香川県と縁もゆかりもないし、屋号である丸亀市には店鋪はもちろん、製麺所を経営したこともない。

 しかし、われわれ一般庶民の頭の中には、今や丸亀製麺は日本を代表する「讃岐うどんチェーン」というイメージがすっかりと定着している。また、海外10カ国200店舗以上で展開しており、そちらでも「A specialized Sanuki Udon」とうたっているので、世界には「丸亀製麺=日本を代表する讃岐うどんブランド」と信じて疑わない人たちがゴマンといる。

讃岐うどんのイメージが定着している丸亀製麺(出典:丸亀製麺のFacebookページ、以下同)

 そんな「香川も丸亀も関係のない企業が、讃岐うどんのシンボルになっている」というモヤモヤする構図が、地元香川の讃岐うどん関係者や愛好家からこれまで幾度となく批判されてきた。「札幌ラーメンや信州そばの店だって地元と縁のない企業が運営しているだろ」という擁護派の主張もあるが、香川県民からすれば讃岐うどんは“唯一無二の職人文化”という誇りがある。しかも、地元経済を支える大事な産業でもあるので、「讃岐うどん」のイメージでガッチリ稼ぐ県外企業へ向ける視線は冷ややかだ。そんなネガな感情によって、今回のニュースが再燃してしまっているのだ。

 丸亀製麺には気の毒だが、このパターンは繰り返されていくだろう。香川から撤退すれば、またこのネタは注目を集める。業績が好調なうちはいいが、少し悪くなれば「そういえば……」と蒸し返される。考えたくないだろうが、何かしらの不祥事が発生すれば、「ちなみに、丸亀製麺は丸亀と全く関係ないということで、一部で批判を受けていました」なんて余計な一言がつくかもしれない。

 ひとつひとつはそれほど大きなダメージはないだろうが、積み重なっていくことでボディブローのように効いてきて、ブランドイメージを悪化させていく恐れもゼロではない。

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