忘れ物にメッセージを添えて返送 JR岡山駅の“神対応”に共感広がる安心と安全届けたい(1/2 ページ)

» 2022年05月12日 18時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 「お客様の大切なお品、お届けしました」――。乗客の忘れ物にメッセージカードを添えて送り返すJR岡山駅の取り組みが「心あたたまる」と、Twitterで反響を呼んでいる。乗車券と同じデザインのカードには、岡山弁で「また、おいでぇ」と赤いスタンプが押印。受け取った大学院生の投稿から共感が広まった今回の取り組みは、一体どのような経緯から始まったのだろうか。

忘れ物とともに届いたメッセージカード(白衣鉄道さん提供、以下同)

 「お届け物特急券」と書かれた乗車券と同じサイズ(縦5センチ、横9センチ)のメッセージカード。表面には「岡山駅→お客様」、裏面には「不安な気持ちになられたと思いますが、無事お客様へお渡しでき、私たちも大変嬉しく思います」と記されている。

 5月11日夕に投稿されたツイートは、大きな反響を呼んでいる。「JR西日本岡山駅忘れ物センターの神対応に全米が涙」――。

 こうツイートしたのは「白衣鉄道」のアカウント名で交通・旅行系ユーチューバーとして活動する大学院生の男性(22)だ。

「明るい話題届けたい」

 男性は4月1日、JRの「青春18きっぷ」を利用して岡山県を訪問し、伯備線の普通列車に乗った。名古屋への帰路、兵庫・相生駅手前に差しかかった際に、伯備線の車両内にビデオカメラを置き忘れてきたことに気がついた。

 「岡山駅忘れ物センター」に急いで問い合わせたところ、無事、ビデオカメラが見つかった。乗っていた車両は岡山駅到着後、営業列車とはならず車庫に入る運用だったとみられ、車庫の作業員が発見してくれたという。

 2日後の4月3日、男性の自宅にはビデオカメラとともに、メッセージカードが丁寧に梱包された状態で届いた。ビデオカメラはユーチューバー活動で使用していたもので、今年1月に購入したばかり。失くすと大きな痛手となるところだった。

 「自分の不注意で忘れ物センターの方々にお手数をお掛けすることにはなりましたが、本当に感謝しています」(男性)

メッセージカードの裏面には「無事お客様へお渡しでき、私たちも大変嬉しく思います」

 当初、男性はネット上での公開を考えていなかったが、5月11日は著名人が自ら命を絶ったニュースで話題が一色に。ニュースから負の影響を受ける人がいると考えた男性は「明るい話題でTwitterのタイムラインを中和する狙いから11日に投稿することに決めました」と振り返った。

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