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「課長にすらなれない」──絶望する40代社員が増えるワケ河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)

» 2022年08月26日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

 私が入社した時は、40歳ぐらいでみんな課長になっていました。ところが、だんだんと景色がかわってきた。課長になれず、係長止まりの人がたくさん出てきたんです。係長っていっても、中身はヒラとほとんど一緒。給料も変わらないし、仕事内容もほとんど同じ。唯一の違いは、まわりより年上ってことくらいです。

 私も係長ですが、コロナ禍前までは「うまくいけば課長になれるかもしれない」と思っていました。でも、今は絶望しかない。事業再編でポストが激減し、若手の抜擢(ばってき)にも注力しはじめ、40代の私は万年係長がほぼ決定です。

 この先、給料も上がらず、“意識高い系”の年下の元で働かなきゃならない。転職といっても、私くらいの年齢で肩書きがないと、書類すら通らない。

 河合さん(筆者)はよく、役職定年のおじさん会社の悲哀を記事に書いているじゃないですか。私のような役職にもつけない40歳はこの先、どうやって生きていけばいんですかね……。

 こう話すのは、某大手企業に勤める黒田さん(仮名)。40代前半の男性会社員です。

深刻化する「肩書きなき40歳問題」

 黒田さんが指摘する通り、50歳の役職定年問題はたびたび取り上げられるのに、「肩書きがつかないまま」で終わりそうな40代が取り上げられることは限られています。

 しかし、現実を鑑みれば50歳問題と同じかそれ以上に「肩書きなき40歳問題」は深刻です。

深刻化する「肩書きなき40歳問題」(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 新型コロナウイルスの流行、ロシアによるウクライナへの軍事進行、急激な円安、物価上昇……。さまざまな不安定要素が拡大する中、企業はこれまで以上にコスト削減に踏み切っています。

 「物価は上がるのに賃金は上がらず、ポストは減らされ、今後も賃金は上がる見込みもない」という厳しい現実が、進行中なのです。

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