箱根駅伝ランナーの“足元”争奪戦 二強のナイキ、アディダスに番狂わせのプーマ箱根駅伝の裏側でメーカーの競争(後編)(1/3 ページ)

» 2023年01月02日 08時00分 公開
[酒井政人ITmedia]

 正月の大人気イベントである箱根駅伝、出場校にユニフォームを提供しているスポーツメーカーが選手たちのシューズをめぐっても熾烈(しれつ)なシェア争いを繰り広げている。国内の老舗ブランドであるミズノとアシックスに加え、海外大手のナイキ、アディダス、ニューバランスの5メーカーが“群雄割拠”の戦いを続けてきた。

 そしてこの乱世に乗じて、二強のナイキとアディダスの寝首をかこうと狙っているメーカーがいる――日本ではサッカーブランドでおなじみのプーマだ。ウエアサプライヤー契約している立大が10月の「箱根駅伝2023予選会」を突破。プーマのユニフォームが初めて正月の箱根路を駆け抜けることになる。

プーマのユニフォームが初めて箱根駅伝に登場する(画像:プーマジャパンのプレスリリースより)

 さらにシューズでも大躍進の予感を漂わせている。前回の着用者は加藤大誠選手(明大4)だけだったが、11月の全日本大学駅伝では5区青木瑠郁選手(國學院大1年)が「FAST-R NITRO ELITE Fire Glow」という厚底モデルを履いて区間賞を獲得。丹所健選手(東京国際大4)もプーマのシューズを着用して、2区で7人抜きを演じた。箱根予選会では立大の選手は1人も履いていなかったが、普段の練習では多くの選手が同社のシューズを活用しているという。

 国内のランニング市場でプーマの存在感はさほど大きくないが、プーマとランニングの結びつきは意外と古い。1964年の東京五輪男子マラソンで金メダルに輝いたアベベ・ビキラ選手(エチオピア)は当時プーマのシューズを履いていた。

 陸上界でいえば、男子100メートルで世界記録を保持しているウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)が愛用していたことで知られており、トラック&フィールドでは世界トップのアスリートと多数契約している。今夏のオレゴン世界陸上の男子100メートルで日本人初のファイナリストになったサニブラウン・ハキーム選手もプーマの契約選手だ。また今季から青学大女子短距離にユニフォームを提供するなど、プーマは日本陸上界にもかなり食い込んできている。

 著名な長距離ランナーとの契約はまだないものの、55年ぶりに箱根駅伝に出場する立大がプーマのユニフォームとシューズを着用し活躍すれば、大きなPRになるだろう。

プーマの厚底モデル「FAST-R NITRO ELITE Fire Glow」(画像:プーマジャパン公式Webサイトより)

 また、前回初出場を果たした駿河台大がアイウエアブランドとして有名なオークリーのユニフォームで参戦する。実業団チームのSUBARUはスイス発祥のOnとパートナーシップを締結しており、正月の駅伝に“ニューフェイス”が続々と登場している状況だ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.