春節始まるも、中国人観光客が「日本」ではなく「タイ」に流れるやむを得ない事情中国の「海外旅行マネー」の行きつく先は(1/2 ページ)

» 2023年01月23日 12時44分 公開
[岡安太志ITmedia]

 1月21日から中国の旧正月、春節の大型連休が始まった。3年ぶりに行動制限がない中で迎えた今年の春節だが、日中双方の制限により、日本の観光地への中国人観光客の客足は一部にとどまる見通しだ。一方でタイ国政府観光庁は「今年中に500万人の中国人観光客が訪れる」と予想する。なぜか――。

行動制限のない春節が始まったが、日本は...(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 中国の新型コロナウイルスの感染拡大を厳しく封じ込める「ゼロコロナ政策」が大幅緩和したことを受け、中国の海外旅行需要は活発化している。中国の大手オンライン旅行会社Trip.comの調査によると、春節期間中(1月21〜27日)の海外旅行予約件数は前年度比で540%に上昇している。特に中国本土から東南アジアへの旅行予約数は、前年同期比1026%だ。最も人気があるのはタイで、次いでシンガポール、マレーシアと続く。

海外旅行予約件数は前年度比で5.4倍(出所:Trip.com プレスリリース)

 中国人観光客が日本にあまり訪れていない理由の一つは、日本側の水際対策強化によるものだ。日本政府は1月4日から、中国本土からの入国者に対して入国時のPCR検査、出国72時間前に受けた検査の陰性証明書の提出を義務付けた。直近の中国での新型コロナウイルス感染拡大を踏まえたものだ。

 また世論からも、インバウンド本格解禁を不安視する声が上がっている。コロナ禍前の国内の人気観光地では、外国人観光客が過剰に訪れたことによって地域住民や周辺環境に悪影響を及ぼしたケースがあるためだ。

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