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ソニー初のロボットプログラミング教材「KOOV」で学んでみた山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」(1/4 ページ)

» 2017年02月19日 06時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 IoTにスマート家電、そしてロボットまでエレクトロニクスの進化を根底から支える「ロボットプログラミング」の学習ツールを、ソニーグループのスタートアップカンパニーであるソニー・グローバルエデュケーションが発売した。その名も「KOOV」(クーブ)。一体、どのような製品なのか。今回は開発者インタビューと、タッチ&トライの両側から攻めて、KOOVの正体を明らかにしていこう。

「KOOV」(クーブ)。カラフルなブロックを組んで22種類のロボットが作れる

ブロックとソースコードを“いじくりまわしながら”創造力を養う

 まずはKOOVという製品の概要をまとめて説明する。本機は一見するとブロック玩具のようにも見えるが、その実体は「教材=学習キット」である。目的としているのは「ブロックを遊びながら組み立てて形をつくること」と「コンピュータプログラミングを学んでコードをつくること」の2つの学習効果だ。「Tinkering=ティンカリング」と呼ばれる、試行錯誤を繰り返しながらとにかくモノやプログラミングコードを“いじくりまわしながら”、創造力と数学的思考を養うというアプローチを採ったところがKOOVの特徴といえる。

 対象年齢は「8歳以上」とされているが、その理由はPCを操作しながらプログラミングの概念を理解できる年頃を想定しているからだ。もちろんオトナが買って、趣味としてプログラミングを学ぶ・楽しむための教材としてもよい。

 製品のパッケージ構成は「KOOVアドバンスキット」、および「KOOVスターターキット」の2種類。それぞれの違いは同梱(どうこん)されるブロックや電子パーツの種類と数だ。より同梱品のボリュームが大きな“アドバンスキット”は約5万円と、おもちゃとして考えてしまうとそれなりに値が張る商品なのだが、後の開発者インタビューでも触れるように、ロボットプログラミングを独学で身につけられる学習キットとして捉えた場合はお得といえなくもない。

KOOVのキットに含まれる電子パーツ。アドバンスキットや拡張パーツを購入すれば作れるロボットのバラエティがさらに広がる

 商品の構成は色や形がさまざまに異なるブロックと、モーターやセンサー、LEDなどの電子パーツ、さらにはプログラムを作成するためのPC/モバイル用アプリケーションの3点セット。アプリケーションはWindows 7以上/Mac OS 10.9以上/iOS 9以上の環境で動作する。KOOVを構成するそれぞれのツールを組み合わせながら「ロボットを作って、動かすこと」が1つのゴールになる。

ソニーがなぜロボットプログラミング教材を作ったのか?

 ハンドリングを始める前に、ソニー・グローバルエデュケーションで製品を開発した磯津政明社長を訪ね、KOOVが生まれた背景や使いこなすためのヒントを教えていただくことにした。

ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長の磯津政明氏

 最初になぜ、同社がKOOVという製品を作ったのか磯津氏にうかがった。「いま世界的にロボットプログラミング教育が注目され、近い将来にグローバルで巨大な市場規模に成長するといわれています。中国・アメリカ、アジアではシンガポールなどの国々はすでに市場がうねりはじめた先進国です。残念ながら、日本はプログラミング教育ではまだ立ち後れているだけでなく、IT業界の人材不足が課題とされています。先だって国内では、2020年から小学校でプログラミング教育を必修化することが検討され始めましたが、当社はKOOVのブランドを立ち上げて、国内のプログラミング教育をリードしたいと考えました」(磯津氏)

 「教育」に関連するツールやサービスを開発、および提供していくことへの関心はソニーという企業の中で古くからあり、情熱を燃やす社員も多くいたという。グループ会社も含めて、ソニーがコンシューマー向けの教材を商品化したのはKOOVが初めての機会になる。ようやく念願がかなったというわけだが、磯津氏がKOOVをカタチにするまでの道のりはけっして平坦なものではなかったようだ。

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