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App Storeだけじゃない 10月に値上げするハードウェア・ITサービスまとめ

» 2022年09月28日 19時30分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 続く円安や物流コストの高騰の影響を受け、5月以降、飲食料品などさまざまな商品が値上がりしている。中には短期間で複数回の値上げに踏み切る企業もおり、その影響はまだ収まる気配を見せない。すでにハードウェアなどの価格を引き上げた企業も多く、値上げの波はIT業界にも及んでいる。

 10月からはさらに多くの企業がハードウェア・ITサービスを値上げする予定だ。この記事では、同月からサービスや製品の価格を変更する4社の情報をまとめる。

AppleはApp Storeの価格テーブル変更

photo 新しい価格テーブル

 米Appleは10月5日(日本時間)に、アプリストア「App Store」の価格テーブルを変更する。日本では、有料アプリやアプリ内課金の最低価格を120円から160円に値上げ。これまで250円だったところが320円、370円だったところが480円などと、全ての価格帯で価格を引き上げる。

 参考記事:「App Store」値上げへ 最低価格120円→160円に引き上げ

NECはビジネス向けPCやサーバ値上げ

 NECはビジネス向けPCの「Mate」シリーズと「Versa Pro」シリーズの希望小売価格を10月中に値上げする。値上げ額は現行価格から1割程度。詳細な価格は後日発表する。

photo VersaPro UltraLite タイプVG<VG-B>

 両シリーズは7月に一度値上げしたものの「想定を超える円安の進行により、原材料費、製造コストが高騰していることに加え、輸送費や周辺部品の部材コストも上昇が止まらない状況。自助努力だけではコスト増を吸収できない状況になり、やむを得ず再度値上げすることとした」(同社)という。

 PCに加え、サーバ「Express5800」シリーズも10月中に希望小売価格を値上げする。同じく部材価格の高騰などが原因という。改定後の価格は10月3日に公開する。

Google Cloudは値上げも値下げも

 米Googleはクラウドサービス「Google Cloud」の価格を10月1日に改定。クラウドストレージでのデータ保存や、保管しているデータを別のリージョンから読み取ったり、複製したりするときの料金などを値上げする。

 例えばアクセス頻度が低いデータの保存を想定した「Standard Storage」のうち、東京と大阪リージョンから成る「ASIA1」リージョンを使う場合、保存しているデータ1GB当たりの利用料は月額0.012ドル(約1.74円)から0.0132ドル(約1.91円)に値上がりする。

 ただし同じASIA1でも、バックアップの保存に向いた「Archive Storage」は1GB当たり月額0.0065ドル(約0.94円)から0.0056ドル(約0.81円)にするなど、一部の料金は値下げになる。とはいえ、ドル建て決済の場合、円安の影響を大きく受ける。円で支払う場合は、価格変更を発表した3月当時に比べるとおおむね値上がりしているだろう。

 参考記事:GCPが一部サービスの料金を改定、値上げも値下げも 10月から

ソリトンシステムズもハードウェア値上げ

 ソリトンシステムズは、DNSサーバやDHCPサーバの機能を搭載したハードウェア製品「NetAttest D3」など11製品の価格を10月3日の受注分から値上げする。各製品のサポートサービスも同様。ただし各製品の機能を仮想化して提供するサービスの価格はそのままという。半導体不足による部品不足などの影響で、値上げ幅は販売代理店などから個別に告知しているという。


 9月22日には財務省が24年ぶりに円買い・ドル売りの為替介入を行い、円安の抑止を図った。一時は1ドル142円台まで円高方向に進んだものの、28日時点では144円台まで逆戻りしており、歯止めがかかったとはいいがたい。

 同日には日経平均株価も一時600円近く値下がりしており、景気後退への懸念が高まっている。忍び寄る暗い影にどう立ち向かうか、判断が求められる局面かもしれない。

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