ホットチョコレート。固形チョコレートの源流に位置する。スペイン、バルセロナのカフェにて。(筆者撮影、以下同)

 バレンタインデーやホワイトデーのあるこの時期は、チョコレートを口にする機会が多い。固形状のチョコレートは、口の中ですっと溶ける。この口当たりがチョコレートの魅力だ。だが、ご存知だろうか、かつてチョコレートは「飲むもの」だったということを。

濃厚なホットチョコレートにチュロスという定番朝食

 冬のヨーロッパに向かう機内では、コーヒーや紅茶とともにホットチョコレートをすすめられた。さすがはチョコレートで有名なヨーロッパである。早速いただくと、甘いココアのような独特の風味を楽しめた。とはいえ、そのときはホットチョコレートもココアも区別はできなかった。

機内で出されたホットチョコレート。濃さはさほどなくココアに近い。クロワッサンとともに。

 スペインのバルセロナで、街角のバルにホットチョコレートがあったので試してみた。出てきた品はかなり濃厚で、とろりとしていた。想像していたものとはまったく違う。濃厚ながらも、さほど甘くなく、べたべたもせず飲みやすかった。

 バルセロナやマドリードの街なかでは、バルやカフェなどいたる所でホットチョコレートが提供されていた。ホットチョコレートとチュロスの専門店も見つけた。チュロスとは、断面が星形の細長い揚げパンである。日本で見かけるチュロスは甘いドーナツのようだが、こちらは甘くなく、台湾式の揚げパン「油條」のようである。このチュロスをホットチョコレートにつけて食べるのだ。

 ホットチョコレート(スペイン語では「チョコラテ」)とチュロスは、スペインの朝食の定番らしい。地元の市場の中のバルの朝食メニューにもチュロスがあった。

 なぜ、スペインではホットチョコレートはこんなに濃厚なのか、そしてよく飲まれるのか。その理由を知りたくなった。そこで、バルセロナにあるチョコレート博物館に行ったのをきっかけに、チョコレートの歴史を紐解いてみた。