(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 衝撃的な予想が公表されました。今年、出生数が90万人を割りそうだというのです。

 厚労省の人口動態推計速報によると、今年1月から7月までの出生数合計が51万8590人で、このペースでいくと今年1年の出生数は90万人を割ることになりそうです。

 私の生年である1973年に約210万人だった出生数が半分以下の100万人の大台を割ったのが2016年。それからわずか3年で90万人を割るという、政府の予想を大幅に超えるハイペースでの減少です。出生数がこの調子で下がり続ければ、極論ですが、あと30年もたたないうちに、日本はほぼ新生児のいない国になってしまうかもしれません。

もはや少子化対策は日本の最優先課題

 人口が増加するためには、合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子どもの数の平均)が2.08以上なければならないとされています。ここでは分かりやすくするために、2以上としましょう。夫婦など男女のカップルで子どもを2人以上もうけなければ、将来的に人口が減っていくということは直感的に分かると思います。

 ところが2018年の合計特殊出生率は1.42しかなく、こちらも今年は減ると予測されています。これでは日本の人口は減っていく一方です。

 政府も手をこまねいているわけではありません。この状況を何とか打開しようと、あの手この手を考えています。この10月に実施された消費増税にしても、安倍政権はその眼目の一つとして、まさに子育て支援を挙げているほどです。具体的には増税によって増えた財源を、幼児教育の無償化、待機児童解消、結婚支援や不妊治療支援などにあてるとされています。そもそも安倍政権が2015年に公表している「新・三本の矢」の政策の一つが、「夢をつむぐ子育て支援」で、そこではまさに合計特殊出生率を1.8まで引き上げることを目標にしています(それが実現できても人口は減り続けるわけですが)。