ヤミ市はヤクザが取り仕切っていたケースが多く、写真の新橋は関東松田組が睨みをきかせていた。この新橋のヤミ市を在日朝鮮人グループが襲ったとき、その盾になったのは松田組だったという。1946年2月13日撮影(写真:近現代PL/アフロ)

 冬休み、親子向けに数理教育のトピックスを準備していたのですが、年末のカルロス・ゴーン容疑者の日本脱出に続いて、年初にはイランのスレイマニ暗殺と事件が続き、おっとりしたサイエンスの話題を提供する間もなく3学期が始まってしまいました。

 本当はそちらに重心を置きたいところですが、「穏やかな話題」が難しい状況のようなので、ヤクザの殺人抗争の話題を記したいと思います。

 米国によるソレイマニ将軍暗殺関連の記事と並んで、1月7日、指定広域暴力団「山口組」と「神戸山口組」が「特定指定抗争暴力団に指定されたとの報道がありました。

 多くの読者には「山口組」と「神戸山口組」の違いなど、分からないことが多いと思いますので、そこから始めたいと思います。

 現在の山口組は6代目にあたるので、区別する上で、本家に当たる方を指して「6代目山口組」(分裂した方が「神戸山口組」)という表記がしばしば用いられます。本稿でもそれを踏襲します。

 もとは1つの組織でしたが、設立100年目を迎えた2015年に、前の代にあたる「5代目山口組」で最大勢力を誇った「山健組」を中心とする勢力が分裂、「神戸山口組」を名乗るようになりました。

 さらにその「神戸山口組」が2次的に分裂し2017年に「任侠山口組」を称するようになってから、「3つの山口組」が鼎立しています。

 本稿の目玉は、山口組の歴史ではなく、やくざの「でいり」にあってどのような手法がとられているか、「鉄砲玉」の使い方を検討しようと思います。

 その前に最低限の足取りを押さえておきましょう。