経口治療薬「モルヌピラビル」を開発したメルク(写真:AP/アフロ)

(星良孝:ステラ・メディックス代表取締役、獣医師)

 新型コロナウイルスの飲み薬の動向に注目が集まっている。今回の記事では、大きく2パターンある、コロナワクチンの動向について動画とともに解説する。

 現在開発が進んでいるコロナの飲み薬は、「核酸アナログ」と「3CLプロテアーゼ阻害薬」というタイプに分かれている。

最初に登場の見通しは「モルヌピラビル」

 まず、米国で独製薬企業のメルクが10月11日に緊急使用許可(EUA)の申請を発表したのが「モルヌピラビル」で、核酸アナログタイプの薬だ。

 核酸アナログでは、ウイルスの遺伝情報が保たれているRNAに似せた物質を薬として活用する。「アナログ」は類似という意味で、ウイルスは誤って核酸アナログを取り込み、結果としてコピーミスを引き起こし、最終的にはウイルスは自滅していく。

 メルクはこの現象を「バイラル・エラー・カタストロフィ」と称している。ウイルスが誤りによって崩壊するという意味だ。

 メルクは緊急使用許可の発表に先立ち、10月1日に発表したプレスリリースの中で最終試験の中間報告を公表している。ここで、軽症から中等症のコロナ感染者が服用すると、入院や死亡のリスクが半減すると報告した。

 開発元のメルクは、この効果を受けて薬の有効性が確認されたと判断し、臨床試験を中断して緊急使用許可申請に踏み切った。

 コロナの飲み薬の利点は大きく3つに整理できると著者は考えている。一つは、まず飲み薬であることそのものだ。

緊急使用許可を米で申請したメルクの経口治療薬「モルヌピラビル」。5日間服用という短期間で効果を発揮させられる可能性がある(提供:Merck & Co Inc/ロイター/アフロ)