国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と写真に収まる金与正氏(写真:AP/アフロ)

(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)

 北朝鮮は11月、参加者1万人を超える大規模会議を開催した。大会参加者を平壌に招集する特別列車を編成したため、北朝鮮のすべての鉄道駅は一般人の乗車を3日間も止めなければならなかったほどだ。足止めをくらった多くの住民は真冬の厳しい寒さの中、苦労を強いられている。

 北朝鮮は、11月14日朝鮮中央通信で、今回の会議は第5次三大革命先駆者大会であり、党中央の意図に従ったものであると述べた。三大革命とは、1973年に金日成が掲げた大衆運動で、思想革命、技術革命、文化革命の3つの革命を指す。三大革命先駆者大会は、この3つの革命を先導した先駆者を称える大会のことだ。

 故金正日総書記が過去に実施したように、三大革命先駆者大会の開催によって、金与正こと党中央が党や軍に続き、北朝鮮全土の掌握に出たのではないだろうか。何かしらの政治的意図と目標があるとしか考えられない。

 そこで今回は、北朝鮮の元大学教授であった経験に基づき、三大革命先駆者大会を開催した北朝鮮の政治的意図と、私たちが注目しなければならない重要なポイントについて私見を述べよう。

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 北朝鮮が、時季外れの今、このような大規模な大会を開催することに、国内外メディアは様々な疑問を抱いている。私も同じ疑問を持っているが、特に以下の3つの疑問である。