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34歳俳優の王子様役が“お笑い”にならないワケ。新作での適役っぷりを読み解く

 赤いジャケットに白いズボン。漫才師すれすれの衣装で登場しながらも王子様然としている。  Netflixオリジナル作品として配信中の『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』で、岩田剛典が見目麗しきリアル王子を体現しているのだ。 「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、主人公の赤ずきん、シンデレラ、はたまた魔法をかける魔女よりもマジカルな岩田剛典を解説する。

名バディを組んだふたりの適役

『シャーロック』DVD-BOX(ポニーキャニオン)

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 向井理主演のドラマ『パリピ孔明』(フジテレビ、毎週水曜日よる10時放送)で、ディーン・フジオカが中国三国時代の武将、劉備玄徳を演じている。それを見て、「おディーン様は、なぜ今までこの適役を演じてこなかったんだ!」と思わず叫んでしまった。  が、それ以上に最近悲鳴をあげたくなったのは、橋本環奈主演のNetflixオリジナル配信映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』で、シンデレラ(新木優子)が夢見る王子様を演じた岩田剛典だった。名実ともに岩ちゃんほどリアルな王子様俳優は他にいないではないか。  なるほど、ディーンと岩田は、名探偵とその助手コンビとして、ドラマ『シャーロック』(フジテレビ、2019年)で名バディを組んだ。劉備役と王子様、どちらも素で演じられる役柄であるにも関わらず、彼らが演じてこなかった事自体、実は最大の未解決ミステリーだったということか……。

岩田剛典の品について

 同作で岩田が演じた助手の若宮潤一はキャリアの途中でドロップアウトしたヤブ医者に他ならなかったが、彼の精悍なたたずまいは、どこをどう切り取っても切なく美しかった。  たとえどんなに汚い役柄を演じようとも、役作りのベースでは(本人が意識しないところで)生まれながらの品性がにじむ。いや、岩田自身それをもちろん把握しているからこそ、見る者に明確なカタチとして伝えられるのだろうか。  ドラマや映画だけでなくコマーシャル作品でもそれは顕著だ。 「ベンザブロック」のベンザブロックYASUMO「羊の執事」篇で、羊の角をつけた執事役で登場したビジュアルにはさすがに笑ってしまったが、上品であることに違いはなかったと思う。と言うように、岩田剛典の品について語り始めたらキリがないのでこの辺りで留めておくことにする。
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誰よりもマジカルな存在
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