【感染症ニュース】致死率ほぼ100%の狂犬病 本格再開を前に海外旅行で知っておきたい海外の感染症 渡航前のワクチン接種は検疫所やトラベルクリニックに相談を
2022年10月13日更新
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日本では流行していない感染症にも注意
日本では流行していない感染症にも注意
 新型コロナウイルスを原因とする入国制限を緩和する国が増え、海外旅行がしやすくなってきました。

 年末年始に海外旅行を計画されている方も多いと思いますが、知っておいてほしいのが、海外の感染症です。

 日本では発生していないけれども、外国で流行している感染症はたくさんあります。渡航先の感染症情報を事前に得ておくことは、海外で健康に過ごすために重要なことです。

海外で注意しなければいけない感染症

 1.食べ物や水を原因とする感染症
  E型肝炎、A型肝炎、赤痢、腸チフス、コレラ ほか

 2.蚊が媒介する感染症
  マラリア、デング熱、ジカウイルス感染症、黄熱、日本脳炎 ほか

 3.動物を原因とする感染症
  狂犬病、鳥インフルエンザ、MERS(マーズ:中東呼吸器症候群) ほか

 4.ケガや事故を原因とする感染症
  破傷風

実は怖い狂犬病

 狂犬病はイヌだけではなく、ネコ、アライグマ、キツネ、スカンク、コウモリなどに咬まれるなど、発症した動物の唾液の中のウイルスが体内に侵入することにより感染します。

 日本国内では1957年以降国内の動物での発生はありませんが、海外でイヌに咬まれて感染した人が、日本に帰国して発症後死亡するというケースもあります。

 狂犬病のリスクがない国は日本やニュージーランドなど数える程度で、世界各地、特にアジアやアフリカ中南米などで流行しています。

 ほとんどの哺乳動物から感染する可能性があり、今でも世界で年間5万人以上が死亡するという人獣共通感染症です。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「狂犬病は発症するとほぼ100%死亡すると言われています。動物に咬まれたり、引っ掻かれたりした時は、すぐにワクチン接種をすると発症を防ぐ効果があるとされています。また、渡航先で動物にふれ合う可能性がある場合は、事前にワクチン接種をしておくと、予防につながります。日本で医薬品として承認されているワクチンは、複数回の接種が必要です。渡航前は時間的余裕をもって、接種してください。また、日本と状況が違う事を認識した上で、動物にむやみに近づかないことも大切です。」と話しています。

予防接種は検疫所やトラベルクリニックなどに相談を

 狂犬病の他にも、黄熱、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、ポリオ、日本脳炎、麻しん、風しん、髄膜炎菌にはワクチンがあり、渡航先や渡航期間、活動内容によっては予防接種をしておいた方がいいでしょう。黄熱は入国時に予防接種証明書の提示を求める国もあります。

 予防接種についての相談は、全国の検疫所で行っています。また、トラベルクリニック、旅行外来、渡航外来などでは相談や接種をおこなっています。トラベルクリニックは海外に渡航される方に対する医療サービスを提供している専門の病院で、渡航前の予防・健康診断から、帰国後の体調不良まで対応しています。

旅行中に注意すること

 海外旅行では、時差や気候の違いなどから、自覚していなくてもさまざまなストレスを受けます。この結果、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなってしまいます。無理のないスケジュールを立てるほか、次のことに注意しましょう。

 ・生水、氷、カットフルーツの入ったものを食べるのを避ける
 ・食事は十分に火の通った信頼できるものを食べる
 ・蚊やダニに刺されないように服装に注意し、必要があれば虫除け剤を使う
 ・動物は狂犬病や鳥インフルエンザなどのウイルスを持っていることがあるので、むやみにちかよらない
 ・咳や発熱、発しんなど、何らかの症状がある方との濃厚な接触は避ける
 ・新型コロナウイルス感染症については、国内同様の感染対策を

帰国後体調が悪くなったら

 帰国時に発熱・咳・発しん・下痢などの症状がある、具合が悪い、体調に不安があるなどの場合は、空港や港に設置されている検疫所に相談をしてください。

 また、感染症には潜伏期間が数日から1週間以上という長いものもあり、帰国後しばらくしてから具合が悪くなる場合もあります。その場合は医療機関を受診し、渡航先や活動状況などを必ず伝えてください。

引用
厚生労働省検疫所FORTH 海外へ渡航される皆さまへ!

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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