滋賀県立玉川高(草津市)で2017年、いじめを受けて退学を余儀なくされたとして、当時1年生だった男性が県などに損害賠償を求めた訴訟で、大津地裁が訴えを退ける判決を出したことを受け、男性の母親(57)は24日、大津市内で開いた記者会見で「いじめ被害者は助けられないのかと、つくづく感じた」と悔しさをにじませた。
男性は17年4月に入学。同5月ごろ以降、同級生からかばんや自転車にいたずらされ、先輩にはクラスのLINE(ライン)グループ内で本人になりすました不適切な投稿をされるなどした。
男性は幼少期に空手を始め、インターハイ出場を目指して強豪校だった同高に進学した。しかし、周囲になじむことができず不登校になり、同11月に退学に追い込まれた。
この日の会見で母親は、県教育委員会の第三者委員会がいじめと認定した調査結果を踏まえ、「判決には調査が全く反映されておらず、公正なものとは思えない」と批判。男性はトラウマ(心的外傷)で空手着を着ることもつらくなったといい、「深刻ないじめは後を絶たない。加害者への厳罰化が必要だ」と改めて強調した。
一方、県教委は判決について「県の主張が認められたと認識している。(男性が)つらい思いをしたことは大変残念で、今後、同種事案の未然防止に全力で取り組んでいきたい」としている。
23日の地裁判決は、学校側の対応が明らかに不十分だったとはいえないと判断し、県の賠償責任を否定した。