部屋も頭もスッキリする! 片づけ脳』(加藤俊徳著、自由国民社)の著者は脳内科医。

独自開発した「加藤式脳画像診断法」を用い、脳の成長段階、得意な脳番地不得意な脳番地を診断し、薬だけに頼らない脳トレ処方を行っているのだそうです。

ところでタイトルからもわかるとおり、本書のテーマは「片づけ」。

片づけられないと悩む方のために書かれているわけですが、そもそも片づけと脳はイメージ的にあまり結びつかない気もします。

ところが、片づけられないのは“脳”のせいなのだとか。脳のある部分が弱いために、「片づけられない脳」になってしまっているというのです。

“片づける”という指令を出すべき脳が、「片づけられない脳」の状態になっていると、やる気が出ない、面倒くさいという気持ちになりますし、整理整頓ができなくなります。そして家族の協力が得られないのにも、脳が関係しています。

ですから脳の働きを理解し、弱い部分を鍛えることで、片づけられるようになる脳=「片づけ脳」に変えれば、おのずと片づけができるようになります。(「はじめに」より)

しかも、年齢とともに衰える他の臓器や器官と違って、脳は死ぬまで成長するのだと著者は言います。つまり、脳はいくつになっても変えられるということ。

だとすれば、まず大切なのは、自分の脳の“弱い部分”を見つけ、その部分を鍛えることだということになります。

そこで、自分がどの程度の「片づけられない脳」なのかを、チェックリストによって確認してみましょう。

「片づけられない脳」チェックリスト

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Image: 自由国民社
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さて、どれだけチェックがついたでしょうか?

著者によれば、チェックした数で「片づけられない脳」レベルがわかるのだそうです。

8-9
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そして、AからHのカテゴリーのなかで、どこにチェックが多くついたかによって、特に鍛えるべき脳の部分がわかるのだといいます。

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片づけられない脳になった原因はさまざまですが、そもそも人それぞれ、脳にはクセがあるのだそうです。

そのため自分の“脳のクセ”に注目し、日々の脳の使い方を考えて、脳の弱い部分を鍛えれば「片づけ脳」になれるというわけです。

このことを念頭に置き、第1章「片づけられないのは脳のせいだった!」に進んでみたいと思います。

脳に弱い部分があるから、片づけられない

いうまでもなく、脳は人間にとって非常に大切な器官。

考えたり、痛みを感じたり、話したり、運動したりと、いろいろなことができるのも脳がきちんと働いてくれるおかげ。

感情や思考、行動などあらゆることが脳の働きに委ねられているわけです。そのため片づけについても、脳がしっかり「片づけよう」と働くがどうかがポイントになってくるわけです。

脳には約1000億個以上の神経細胞が存在し、それらには「考える」「記憶する」「からだを動かす」など、さまざまな役割が与えられているもの。

そして、同じような働きをする細胞は寄り集まり、神経細胞の集団をつくっているのだといいます。

その集団がつくられている基地のようなところが「脳番地」。

全部で120あり、機能別にすると「視覚系脳番地」「理解系脳番地」「運動系脳番地」「思考系脳番地」「記憶系脳番地」「感情系脳番地」「聴覚系脳番地」「伝達系脳番地」と8つの系統に分けられるそうです。

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いずれも左脳、右脳の両方にまたがっているという8つの脳番地について、状態と役割、片づけとの関係を見てみましょう。

1 視覚系脳番地 部屋の様子が目に入らない!

目で見たことを脳に伝える脳番地。左脳側はことばや文字、右脳側はイメージや映像に関係しているそうです。

ここが衰えていると、見た情報を正確に処理できないため、部屋が散らかっていても、それが視覚情報としてインプットされないことに。

2 理解系脳番地 状況がのみ込めない!

物事やことばを理解することに関係する脳番地。与えられた情報を理解し、自分を客観視する能力にも関係しており、好奇心によって成長するという特徴が。

空間認知にも関係しているので、「片づけたくても、どうしたらいいのかわからない」「散らかっている状態を見ても頭がフリーズしてしまう」という人は、この番地が弱い可能性があるのだといいます。

3 運動系脳番地 手が出ない、動きが遅い!

からだを動かすことに関係した脳番地。アスリートや手先が器用な人も、この脳番地が強いタイプで、脳のなかで最初に成長するといいます。

片づけは多くの場合、からだを動かして行う作業であるため、この運動系が弱いと動くことがおっくうになり、片づけも面倒に感じるそうです。

4 思考系脳番地 実行に移せない!

物事を深く考えたり、判断したり集中力を高めたりする機能が集まった脳番地

脳の司令塔とも言え、この脳番地が弱いと自分で自分に指示が出せず、ものごとをすぐに決めることが困難に。

片づけの基本である「ものの場所を決める」ことがなかなかできず、片づけが進まないわけです。

5 記憶系脳番地 前の状態を覚えていない!

覚えたり思い出したりすることに関係した、情報を蓄積する脳番地。知識と感情の連動で強化されるのだといいます。

記憶系が弱いと、もとにあった場所が思い出せず、片づけることができなくなるそう。

6 感情系脳番地 自分で決められない!

死ぬまで成長し続ける、喜怒哀楽といった感情を表現する脳番地。この分野が弱いと、片付けは他人任せになりがち。

7 聴覚系脳番地 聞くだけではなにをしていいかわからない!

言語の聞き取りや周囲の音など、耳で聞いたことを脳に集める脳番地

ここが弱いと聞いたことを受け止められず、忘れてしまって行動することが困難になり、片づけも面倒くさくなるといいます。

8 伝達系脳番地 人にうまく伝えられない!

話したり伝えたりという、コミュニケーションに関係する脳番地

家族に「片づけて」と伝えても動いてくれないとしたら、コミュニケーションの仕方に問題があるかもしれないそうです。

脳番地のどこが強いか、どこが弱いかは人によってさまざま。

したがって、まず自分は8つのうちのどの脳番地が弱いのか、自分の脳のクセを見極めることが「片づけ脳」になるための第一歩だと著者は記しています。(22ページより)


以後の章では、脳番地のトレーニング法や習慣化するためのコツなどがわかりやすく解説されています。

トレーニングといってもすぐに試せることばかりなので、無理なく「片づけ脳」になれそう。

本書を通じて自分の脳の“弱い部分”を見つけ、その部分を鍛えてみてはいかがでしょうか? 日々のパフォーマンスが向上するかもしれません。

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Photo: 印南敦史

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