犬の素晴らしさの1つは、とても愛情深いことです。私たちが傷ついたり、落ち込んだりしていると、寄り添ったり、キスをして慰めようとしてくれます。
しかし、たとえそれが愛情表現なのだとしても、犬にキスをされたり、舐められることが、健康にまったく問題がないかというと、そうではありません。
オハイオ州の女性が、飼い犬に傷口を舐められたあと、珍しい感染症にかかったのは、その不運な一例だといえます。
犬の口にある細菌が、開いた傷口を通って、体中に広がったことが原因です。誰でも、犬や猫に噛まれたり、引っかかれたりすれば、これと同じことが起きる可能性があります。
では、ペットの犬とキスをしてはいけないのでしょうか? 絶対やめるべき? それとも運が悪かっただけ? 犬に顔を舐められたり、腕を引っかかれたら、どのぐらい危険なの?
今回は、こうした疑問に関して解説します。
犬のキスが要注意なケースとは?
犬がどんなものを舐めたり口に入れたりするかを思い浮かべてみれば(路上のゴミ・トイレの水・自分のウンチ)、犬の舌を顔に押しつけられたいとは思わなくなることでしょう。
とはいえ、メイヨークリニックの感染症専門医であるPritish Tosh医師によると、犬にキスをされても、ほとんどの場合は問題がないそうです。
「犬に顔を舐められると害があるでしょうか? おそらくありません」と、同氏は、同クリニックが提供する動画の中で話しています。
ただし、開いた傷口を舐められるのは避けるべきです。人間と同じく、犬の口内は細菌でいっぱいです。
疾病対策センターによると、犬の74%がカプノサイトファーガ(オハイオ州の女性が感染した細菌)を口内に持っているのだそうです。
理由は簡単で、この細菌は犬にとっては自然なマイクロバイオームの一部なのです。もっとも、この細菌はほとんどの人にとっては問題ではなく、犬に舐められて感染するケースはごく稀です。
この細菌が危険となるのは、高齢者・妊婦・がん患者・アルコールを過剰に飲む人・脾臓を摘出した人・ステロイドなど特定の薬を服用している人など、普段から免疫力が低下している人たちである、とアメリカ疾病管理予防センター(CDC)は言っています。
感染症の兆候・症状は?
犬からカプノサイトファーガが感染した場合、兆候・症状が現れるのは、通常舐められてから3〜5日後となりますが、CDCによると、早ければ1日、遅いと14日後になることもあるそうです。
猫についてはあまり情報がありませんが、猫に開いた傷口を舐められたり、噛まれたりしても、カプノサイトファーガに感染する可能性はあります。
CDCによると、カプノサイトファーガに感染すると、次のような兆候や症状があるそうです。
- 噛まれてから数時間以内に、噛まれた傷口の周囲に水疱ができる
- 発赤、腫れ、膿、噛まれた傷口の痛み
- 発熱
- 下痢や胃痛
- 筋肉や関節の痛み
こうした症状のうち、どれかが見られた場合はすぐに医師の診察を受けてください。
カプノサイトファーガに感染すると、心臓発作、腎不全などの深刻な合併症や、オハイオ州の女性のように手足の切断につながる壊疽を引き起こす恐れがあります。
繰り返しますが、犬に舐められて、こうした症状が発生することは非常に稀です。
しかし、病状が進行すると、10人のうち3人が死亡します。ですが、カプノサイトファーガに感染しても、ほとんどの場合は、速やかに対処すれば、抗生物質の処置を受けて快復へと至ります。
傷口を犬に舐められてしまったら
私たちは子どものころから、犬に噛まれると、最悪のケースである狂犬病を含め、良くないことが起こりうると教えられてきましたが、犬に舐められることのリスクについては教えられてきませんでした。
ですので、新たに「犬や猫に、開いた傷口や、皮膚が傷ついてる場所を舐めさせてはいけない」を付け加えてください。
いくら強い免疫システムを持っている人でも、開いた傷口をペットに舐められた場合は、すぐに石鹸で洗い流し、感染の兆候が現れないか注意してください。何らかの異常を感じたらすぐに医師に相談しましょう。
とはいえ、ほとんどの人にとってほとんどの場合は、犬とキスをしてもまったく問題はありません。
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Image: Kayla Farmer (Unsplash)
Source: CNN, Mayo Clinic, CDC, Journal Sentinel
Elizabeth Yuko - Lifehacker US[原文]