リモートワークが推奨されてから早1年。通勤がなくなり時間に余裕が生まれた一方で、在宅での仕事は生産性に課題を感じるという声をよく聞きます。

では、どのように最適化すればよいのか? 仕事を行うデスク環境の視点から考えてみることにしました。

題して「デスクツアー」。多様な働き方をしている方々が愛用しているデスクまわりのアイテムや、パソコンでよく利用するアプリなど、こだわりの活用法、仕事術を教えてもらう企画です。

第1回目のゲストは、YouTuberのトバログさん

昨年の夏に都内から海が近い郊外へと引っ越し、自宅での仕事を最適化するために仕事部屋を設けたそうなので、どのようなこだわりでデスク環境を整えたのか聞いてみました。

ブログやYouTube動画を制作するアイテムを揃えたデスク環境

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Photo: 鳥羽恒彰

—— まず、仕事の内容やデスクでの主な作業を教えてください。

現在はフリーランスとして、ブログ記事の執筆や撮影、そしてYouTube動画の企画・撮影・編集がメインの作業です。また最近では、企業やメディアからの執筆や撮影の依頼も多く、タイアップ案件の企画なども行っています。

昨年の夏に離れが付いている住居に引っ越し、10畳ほどのワンルームが現在の仕事部屋です。

【主なデスク環境】

  • パソコン:日本HP『ENVY 15(クリエイターモデル)』
  • モニター:ビューソニック『27型4Kカラーマネジメントモニター』
  • キーボード:HHKB『Professional Hybrid Type-S』
  • マウス:ロジクール『MX ERGO』
  • 周辺機器:ベルキン『ドッキングステーション Thunderbolt3 Express Dock Pro HD』、Bang & Olufsen『Beoplay A9 』
  • デスク:Flexispot『電動昇降式スタンディングデスク』
  • チェア:オカムラ『コンテッサ』

デスクの主な環境は、電動昇降式のスタンディングデスクに中古で買ったオカムラのコンテッサというオフィスチェアを組み合わせています。

メインPCは、日本HP『ENVY 15(クリエイターモデル)です。

これまでMacBook Proだけで仕事をしていましたが、昨年にスタートしたYouTubeチャンネル『トバログ』の作業もあり、よりパワフルなWindowsノートに買い換えています。 MacBook Air(M1 2020)も購入しましたが、サブで運用している感じですね。

作業の際には、メインPCにベルキン『Thunderbolt3 Express Dock Pro HDを接続し、そこからビューソニック27型4Kカラーマネジメントモニターや、Bluetoothキーボード『HHKB Professional Hybrid Type-S』、トラックボールのロジクール『MX ERGO』を繋いで作業しています。

—— 1日のタイムスケジュールは?

そもそも時間に縛られるのが苦手でフリーランスになったところもあるので、1日のタイムスケジュールはあまり決まっていません。

基本的にアラームを設定せずに9時〜10時30分の間に起床し、すぐに企業案件や細かいタスク処理をしています。そして、14時くらいからYouTube動画の構成を考えて撮影し、おおよそ21時ごろには動画の公開が完了するスケジュール感ですね。

YouTube動画を撮影しない日は、午後の時間を育児や買い物など家庭のタスクを行います。

21時に動画を公開したら、そこから晩ご飯を食べ、22時〜23時くらいにNintendo Switchのゲーム『スマブラ』や育児をして24時過ぎに就寝します。

今は子どもが小さいので、3時~4時、7~8時にミルクタイムを2回挟むので、改めて時間に縛りの少ないフリーランスでよかったです。

住まいと仕事部屋を分けて、モチベーションが上がる作業空間に

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Photo: 鳥羽恒彰

—— 新しく整えたデスク環境に、テーマやタイトルをつけるとしたら?

仕事場やデスク環境における最大のこだわりは「仕事部屋を住まいと分けた」ことでしょうか。

引っ越す前は、都心の2LDKの物件に住んでいて、リビングにパーティションを立て、4畳ほどのスペースを仕事部屋にしていました。

ただフリーランスとして活動していると、そもそも自宅にいる時間が長く、最近だと外での打ち合わせや仕事もほとんどありません。

また、YouTube動画の撮影は音声収録も行うため家族への配慮が必要で、リビングと隣接していると自由な撮影が難しいんですね。そのため独立した仕事部屋が必要となり、在宅ワークが増えたこの状況に鑑みて、住まいと仕事場が分けられる現在の住居に引っ越してきました。

仕事部屋は、仕事のモチベーションが上がることが最重要だと思うので、部屋は白を基調としてシンプルな雰囲気に仕上げ、仕事に関係のないモノは持ち込まないようにしています(スマブラとか)。

白を基調とする理由は「そもそも白いモノが好き」「撮影時に色が被らない」「見た目がシンプルになる」の3つです。

この作業環境を構築するにあたり参考にしたのは、ドイツ在住のイラストレーター、クリストフ・ニーマンさんのアトリエです。Netflixに「アート・オブ・デザイン」というドキュメンタリー番組があり、そこで彼のグレーと白を基調としたクリーンなアトリエに感銘を受けました。

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Photo: 鳥羽恒彰

デスクの配置やカラー、ウォールシェルフなどはそこからヒントを得ています。

見た目はアトリエっぽいですが、デスクがFlexispotの電動昇降式スタンディングデスクだったり、オフィスチェアがオカムラのコンテッサだったりと、快適に作業するためのこだわりを詰め込んでいます。

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Photo: 鳥羽恒彰

デスク環境へのこだわりを一言であらわすのは難しいのですが、イメージ的には「まるで海外にアトリエを構えたかのような作業部屋」でしょうか。

もともと海外を転々としながらワーケーションするのが好きだったので、その雰囲気をそのまま自宅に持ってきています。

また、モノ選びに関しては、基本的に家具は見た目と機能性を重視してブランドにこだわりがないため、基本的には無印良品やIKEAなどで安価なモノの中から選んでいます。直接身体に触れるオフィスチェアやキーボードなどは作業効率に直結するので、できるだけハイエンドなモデルを買うようにしています。

ワークスタイルに合った、仕事が捗るアイテムを厳選

—— デスクで使用している、お気に入りのガジェットやアイテムを3つ挙げるとしたら? その理由は?

1. Flexispot『電動昇降式スタンディングデスク』

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Photo: 鳥羽恒彰

仕事部屋にはデスクが2つあり、1つはYouTube動画の撮影やアナログな作業をするためのデスクで、もう1つがPC作業をするためのFlexispot『電動昇降式スタンディングデスク』です。

電動昇降式スタンディングデスクは高さを自由に変えられ、午前中は立って作業しつつ、疲れたら座るといった使い分けができるのが良いですね。

特に在宅ワークだと1日中部屋から出ずに座りっぱなしということもあるので、立ち姿勢や座り姿勢をワンタッチで変えられるスタンディングデスクの存在はありがたいです。

2. Bang & Olufsen『Beoplay A9 3rd 』

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Photo: 鳥羽恒彰

昨年の夏に購入した高級Bluetoothスピーカー 、Bang & Olufsen『Beoplay A9 』でいつもBGMを流しています。

1m近い大型のスピーカーで、部屋全体を包み込むようにきれいな音を出してくれる点が気に入っています。35万円くらいするモデルで「いつか欲しい」と思っていましたが、コストコで半額以下で売っていたため即購入しました。

3. HHKB『Professional Hybrid Type-S』

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Photo: 鳥羽恒彰

HHKB『Professional Hybrid Type-S』は、前モデルから愛用していて、スコスコとした打鍵感で心地良く作業ができる点が気に入っています。

YouTuberはテキストを打つことはほとんどないので、HHKBのキーボードを叩きたいがためにブログを書いている節があります。

—— PCのメニューバーなどに常駐(起動)させているアプリは?

・Lightroom CC

SNSやブログ、YouTube動画など、世に出すほとんどの写真はAdobe『Lightroom CC』で加工してからアップロードしています。そのため使用頻度が高く常に起動させています。

・Notion

中長期的な仕事のスケジュール管理やYouTube動画の構成、欲しいモノやアイデアのまとめなど、自分にとって重要なデータのほとんどを『Notion』で管理しています。

たとえば、ウェブページのように階層分けをしつつ、自分にとって見やすい表示方法で閲覧できるので、その点が便利ですね。

・Ralpha Image Resizer

地味ですが画像の圧縮ソフトです。SNSやYouTube動画のサムネイルなどは基本的に1枚あたり5MB以上だとエラーが出てしまいます。写真は高画素のカメラで撮影するため、SNSやブログに画像をアップロードする際には必須です。

—— これからデスク環境に導入したいガジェットやアイテムはありますか?

実はもう購入済みで、まだ開封できていないアイテムなのですがNASです。

YouTuberとして活動していると、必ず悩まされるのがストレージ問題なんです。特に最近だと4Kコンテンツにシフトしつつあるため、1本あたりの動画データが60〜100GB近くなってしまいます(約1カ月で1TBを消費する計算)。

これまではGoogleのビジネス向けクラウド「G Suite」のストレージが実質無制限だったので使っていましたが、名称が「Google Workspace」に変更され、利用できるストレージも容量制限が設定されました。

そこで、あまりサービスに依存しすぎるのもよくないと思い NAS「QNAP (キューナップ) TS-251D」の導入を検討、購入しました。ストレージは14TBのHDDを2台で、合計12万円くらいだったと思います。

NASであれば外出先からでもアクセスできるので、クラウドストレージのようにも使えます。地震や経年劣化でデータが消失する可能性はありますが、サービスを提供する側の裁量で料金プランの変更やストレージ容量が変わることがないので、その点についても安心です。実際に使ってレビューしていきたいですね。


生活空間から独立させ、白を基調とした無駄のないワークスペースに、快適に使いこなせるガジェットやアイムテムを揃えたトバログさんのデスク環境。

自らのテーマやこだわりを表現することで、仕事へのモチベーションも高めていく方法は、オフからオンへ気持ちを切り替える意味でも、心理的な効果が期待できそうですね。

皆さんも、デスク環境や作業空間をつくる上で参考にしてはいかがでしょうか?

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