スマートフォンがユーザーデータを集めているのは、公然の事実です。そしてAppleは、ユーザーのデータを扱う際にプライバシーに最大限の注意を払っていると自称しています。
とはいえ、AppleがiOSを通じてどのようなデータを収集・保有しているのかは気になりますよね。
では、その点についてさっそく見ていきましょう。
iOSはどんなデータを集めているのか
AppleはiOSを通じてユーザーデータを集めているわけですが、具体的にどんなデータが集められているのかを知りたいと思う人もいるでしょう。
Appleが収集しているデータについては、「データとプライバシー」ページ(これについては、のちほどくわしく解説します)のデータ申請フォームで詳しく確認することができます。そのページを見ると、Appleが次のようなデータ集めていることがわかります。
- App Storeアクティビティ
- iTunes Storeアクティビティ
- Apple Booksアクティビティ
- Apple Musicアクティビティ
- Apple Podcastsアクティビティ
- Apple Arcadeアクティビティ
- Apple IDアカウント
- デバイス情報
- Apple Online StoreやApple Store直営店アクティビティ
- Walletアクティビティ
- AppleCareとサポートアクティビティ
- Game Centerアクティビティ
- ブックマークとリーディングリスト
- カレンダーとリマインダー
- 連絡先とメモ、マップ
- マーケティングに関する登録情報
- ダウンロード
- その他のデータ
- iCloud Driveファイル
- iCloudメール
- iCloud写真
なかなか長いリストですよね。
ここに「Wallet」や「写真」「メール」などが含まれているのが、少し気になる人もいるかもしれません。ですが、Appleが収集・保有しているのは、これらの項目のメタデータだけです。つまり写真がいつ撮られたのかといった「データのデータ」であって、Appleがあなたのクレジットカード番号や写真、メールをデータベースに保存しているわけではありません。
Apple Cardを使ったアクティビティに関する全データに加えて、デバイスの使用頻度や、利用しているアプリについても、Appleはデータを収集しています。
また、Siriに関するデータも、設定からオプトアウトしていない場合には収集データリストに加えられます。
データのコピーを取得したり、削除したりはできるのか
データ保護法のもとでは、ユーザーには、あらゆる企業から個人データのコピーを取得できる権利が与えられています。Appleも例外ではありません。
Appleが自分に関して保有している全データのコピーを申請する際は、まず「データとプライバシー」ページにアクセスし、自分のApple IDでサインインします。それから、「データのコピーを取得」の下にある「開始する」をクリックしてください。
リストが表示されたら、確認したいデータを選び、「次に進む」をクリックします。各データファイルをどのサイズに分割したいか聞かれるので、サイズを指定して「リクエスト完了」をクリックします。
Appleもはっきり説明していますが、このレポートでは、暗号化されたデータは受け取れません。Appleにも、そのデータは解読できないからです。これはもっともな話です。というのも、そのような行為はデータ暗号化とセキュリティーの本質に反するからです。さらにこのレポートには、削除されたデータも含まれていません。
データのコピーを取得するよりは、いっそのこと、Appleのデータベースから自分に関するデータをすべて削除したいという場合、選択肢はひとつしかありません。
「データとプライバシー」ページの「アカウントを削除」の下にある「アカウントの削除をリクエスト」を選んでください。リクエストを行う理由を選んだら、あとは「次に進む」をクリックします。
この操作を行うと、Apple IDアカウントも、関連するデータも、何もかもが削除されるので注意が必要です。
iCloudに保存されているすべてのデータも、購入したものも、すべて消えてしまいます。FaceTimeやApple Musicなどのサービスも利用できなくなります。
iOSがデータを集める理由
AppleにはAppleなりの理由があってデータを収集しているわけですが、AppleがなぜiOSを通じてデータを集めているのかという点については、はっきりとした理由があります。iPhoneをメインデバイスにしている人については、iOSがデータ収集に最適だからです。
Appleは、あなたがどの製品・サービスを使っているのかを把握するためにデータを集めています。そうすれば、あなたに宣伝すべき製品・サービスがわかるからです。
「新しいiPhoneについてのお知らせメールは届くのに、新しいApple Watchについてのメールが届かないのはなぜ?」と不思議に思ったことはありませんか? それはおそらく、あなたがiPhoneユーザーではあっても、Apple Watchは持っていないからでしょう。
Appleも企業である以上は、あなたに自社製品を売り込みたいと思っています。そのためには、そういったターゲティング広告を打つのがいちばんいいやり方なのです。
Appleがデータを収集するもうひとつの理由は、Appleの製品やサービスをもっと快適に使ってもらうためです。Appleがデータをいっさい集めなかったら、Apple Musicのおすすめや、マップの通知など、ユーザーにとって役立つ情報が提供できません。
そういった機能は、プライバシーを重視する人にとってはいっさい不要です。でもその一方で、それらの機能がiOSの全般的な使い心地を向上させているのも事実なのです。
自分のデータをどうするかを選ぶのは自由
Appleはプライバシーをとくに重視している企業です。けれども同社が、データ収集をやめることはないでしょう。たしかに一部の企業と比べれば、Appleには悪質なところがありません。とはいえ、データに関して潔白であるかと言えば、そうでもないのです。なにしろ、Apple製品の使用感を高めるために、一部のデータを使っているわけですから。
いずれにせよ、Appleによるデータ収集に不快感を覚えているか否かは別として、少なくともユーザーには、好きなように対処できる自由があるのです。
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Original Article: What Data Does iOS Share With Apple? by MakeUseOf