家計再生コンサルタント横山光昭さんに聞く家計の見直し連載。今月は、「将来が不安で、お金がうまく使えない」ときこそ、見直したいことや、不安にならずに安心できる家計の状態とは? 教えていただきました。


将来は年金だけでは暮らせない。子ども一人育てるのに2000万円以上かかる…。

将来のお金に関しての不安は尽きません。お金を貯めなくては! と強く思い、「不安にかられてお金が使えなくなった」という方が家計相談に来られたことも何度となくあります。

きっかけは、お金を貯めたいがために、極端にケチな行動をとったり、無理な節約をしてお金が貯まったという過去の成功体験があったりと様々。お金の使い過ぎで困る人もいれば、使えなくて困る人もいるのです。

お金を使うことに不安を感じる人は、どのような家計管理を目指すと、安心してお金を使えるようになり、また上手に貯めていけるのでしょうか。

家計と貯蓄状況を客観的に見てみよう

買い物する男性
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家計を見るときには、毎月の家計状況と貯蓄の状況を見ることが大切です。

  1. 毎月の支出は、収入の中で納まっているか。
  2. 貯蓄は、当面の生活が困らないだけの預貯金があり、この3年ほどのうちに使うべき教育費などの必要な資金も、準備できているか。
  3. 老後資金のメドが立ち始めているか

これらがクリアできていれば、それは安心できる家計。やりくりもうまくいっていると思って良いでしょう。

ですが、貯金ができていない、必要資金の準備ができていないという場合でも、悲観する必要はありません。

毎月の収支が黒字であるなら、それは大きな強みであり、やりくりがうまくできているという証です。これから貯えを増やすことを考えればいいのですから、自信をもっていきましょう。

貯金をするスピードをアップしたいと思うのであれば、どのような支出をしているかを振り返り、削減できる支出を見つけていきます。

無理をして削減するのではなく、必要な支出を大切にし、あまり必要ないと思える支出を削減します。つまり、支出にメリハリを付けることで、支出をコントロールしていくのです。ここで安心感を覚える人もいます。

将来に向けての自己投資ができない状態は危険

それでも、お金を使うことが不安だと思ってしまうと、お金を使うことに抵抗感を覚えてしまう人もいます。そして、そんな状況にある自分を、苦しく思ってしまう人も多いのです。

極端にお金を使えない状況というのも、デメリット。自己投資ができなかったり、将来に向けた資産形成に取り組むことにも不安を感じてしまったり。

自分自身の将来を明るいものにするための行動ですら、できない場合があります。頭でやった方がよいとわかっていても、足がすくんでしまう。

将来が不安でお金が使えないはずなのに、将来をよくするためにもお金を使えないのでは、埒があきません。その不安の原因と向き合ってみることも、よいでしょう。

仕事がなくなる、収入がなくなるように思えて不安なのか、必要資金が作れないかもしれないということが不安なのか。人により様々な理由があるでしょう。そこに向き合えれば、改善の糸口が見えることもあるでしょう。

不安を少なくするための家計管理のコツ

家計管理をする男女
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不安を少なくするための家計管理は、先にもお伝えしたように、まずは毎月黒字の家計であること。そして、黒字部分を生かして、貯金を増やしていけば良いのです。

徐々に貯金が増えてきたら、生活費と突発的な支出に備えて、毎月の生活費の1.5か月分ほどを使うお金として準備しましょう。

つまり、「使う」と「貯める」の役割を分けてお金を持つのです。0.5か月分ほど余分に予算しておくと、大抵のことは貯金を下ろさなくても何とかできます。

そしてもし、1.3か月分のお金を使った月があれば、翌月は節約を心がけて0.9か月分で生活をし、徐々に1.5か月分に戻していくというようにコントロールしていきます。

生活費が貯金に侵食しないという状況が作れれば、お金を使っても貯金は減らないという安心感になります。そうすると、お金を使うことへの抵抗感も薄れ、必要なところにはお金を使えるようになる可能性が高いでしょう。 

お金を使うのに不安を持つ人は、お金が減ることに不安を感じがち。家計管理で、お金が減らない仕組みを作ることができれば、きっと良いお金の使い方をしていけるのではないかと思います。

横山光昭(よこやま・みつあき)

横山光昭

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計330万部となる。