キャリアアップを目指している人は、多くの場合、会社にとって必要不可欠な存在になろうとしますが、実際に重視すべきなのは、「代替が利く」存在になることです。

チームの中で「なくてはならない存在」と思われることは、一見良いことのように思えますが、実際にはキャリアがマンネリ化し、昇進の機会を妨げてしまいます

さらに、自分の仕事のやり方を知っているのは自分だけというのは、実は会社のためになりません。

「代替が利く」≠「いなくてもいい」

「代替が利く存在でいる」ことは、さまざまな企業の経営者やビジネス書が長年にわたって推進してきた概念ですが、それほど危険なことではありません。単にあなたの仕事をできる人間が他にもいるということです

その仕事が重要でないとか、あなたがその役割に最適な人物でないという意味ではありません。

しかし、もしあなたがキャリアアップしたいなら、その役割を担える後継者が既に存在するほうが、昇進できる可能性が高まります。

「代替が利く」ということは、自分の役割に関連した知識やスキルを他の社員と共有することになり、結果的に会社に利益をもたらし、リーダーシップがあることを上司に示すことになります

逆に、自分が不可欠な存在だと考えることは、雇用主にとっての自分の価値を過大評価している場合には危険です。

Issuu社のCEOであるJoe Hyrkin氏は、次のように語っています。

成功している企業において、誰かが本当に必要不可欠な存在であるということはないと思います。

「代替が利く」ということは、会社を辞めるということではなく、良い仕事をしたということです

たとえば、より多くの人を管理するなど、新たな挑戦をする機会をつくっているということです。

The Burnout Epidemic: The Rise of Chronic Stress and How We Can Fix It』の著者であるJennifer Moss氏は、信頼感がないとチームの士気を損なうことにもなると主張しています。

常に確認せずにはいられないマイクロマネージャーは、チームに対して「自分と同じレベルの仕事のスキルがない」と言っているようなものです。

自分は組織の中で欠かせない存在であり、自分の役割を確保していると思っているかもしれませんが、実はあまり良い上司ではないことを示している可能性が高く、結局は自分の仕事が不安定になってしまいます。

また、燃え尽きてしまう可能性も高くなります。

「代替が利く」存在になる方法

まず、「私が突然辞めても、私の仕事をできる人が他にいるだろうか?」と自問しましょう。

答えが「No」なら、あなたと同じ資格を持つ人があなたの役割を引き継ぐことを妨げるものは何か特定してみてください。製品に関する知識や日常業務、あるいはソフトウェアのパスワードのような単純なことかもしれません。

いずれにしても、それはチームと共有すべき制度的な知識です。そのためには、次のようなステップが必要です。

  • すべてを文書化する:

自分の仕事に関連するすべてのプロセス、タスク、ポリシーを文書化し、ほかの人がアクセスできるドライブに保存しましょう(日付やバージョン番号を記入するのが理想的です)。これは、新入社員が仕事を覚える際に役立つだけでなく、既存の社員も必要に応じて参照できるので便利です。

  • 同僚を支援してトレーニングする:

自分の仕事をできる人が他に誰もいない場合は、上司にそのことを懸念として報告しましょう。同僚や直属の部下と知識を共有したり、自分の役割に関連する仕事のトレーニングを惜しみなく提供してください。

  • 委任する:

特に、同僚や直属の部下がその仕事に必要なスキルを明らかに持っている場合、自分ですべてのタスクを片づけなければならないと思い込むのはやめましょう。複数の研究が、職場での社員の士気は自律性と密接に関係していることを実証しています。

自律性とは、信頼されていると感じ、自分で意思決定を行なうことができるということです。

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自分を「代替が利く」存在にすることは、昇進するために必要なことをすべてしていることを意味します

自分のタスクを文書化し、必要に応じてタスクを委任し、自分のスキルをチームのメンバーと共有すると、会社が新しい役割に就ける人材を採用したり、社内で誰かを昇進させようとしている時に、求めるリーダーシップのスキルを発揮することができます。

Source: Amazon, NBC News