金融の専門家の多くは、生活防衛資金には生活費の3カ月〜6カ月分を準備すべきだと考えています。しかし、このアドバイスにはかなり幅が出ます。

ここでは、生活防衛資金に含めるべき最低限の費用と、貯蓄目標は3カ月分でいいのか、6カ月分、あるいはそれ以上とするべきなのかを見極める方法をご紹介します。

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生活防衛資金とは?

生活防衛資金とは、失業、突然の医療費、車の修理など、経済的な緊急事態に備えるための手元資金のことです。

IRA(個人退職口座)や401(k)(確定拠出型年金)のようにハイリスクの投資とは異なり、生活防衛資金は、違約金や手数料なしで直ちに引き出すことができます。

一般的には、投資を始める前に生活防衛資金をつくることが推奨されていますが、高金利の借金(年間利回り10%以上)の返済に悩まされている場合は、まずそちらを完済することをおすすめします。

生活防衛資金の算出方法

専門家は、3カ月から6カ月分の支出の確保を推奨しています。

給料を毎回使い切るような生活をしている人にとっては、冗談のように聞こえる話かもしれませんが、短期的な目標を立て、それに沿って生活防衛資金を積み立てていくことが有効です。

例えば、3カ月分という目標に向けて、まず毎月必要な支出の合計額を以下のように書き出しましょう。

・住宅費/家賃・食費・医療保険・水道光熱費・交通費・借金

(少なくとも、まだ)含めない支出には、以下のように、毎月の「あったらいいな」という支出があるでしょう。

・外食・エンターテインメント(サブスクリプションを含む)・休暇・その他の貯蓄

支出の計算には、Fool.comが提供しているEmergency Fund Calculatorを使ってみましょう。そうすることで、めったに利用してない忘れられたサブスクリプションサービスや、レストランでの食事代など、生活防衛資金に回せる隠れた支出が意外と見つかるかもしれません。

いずれにしても、目標は、貯蓄の一部を生活防衛資金に充てることです。

どのくらいの期間で生活防衛資金を積み立てるべきかについては意見の分かれるところですが、ともかく緊急時のためですので、早ければ早いほど良いでしょう(1年以内に少なくとも1ヶ月分の支出を貯めるのが妥当な目標です)。

ゼロから始めるのであれば、達成可能な最初の目標として1,000ドル(10万円)の貯蓄を考えてみてください(米国人のうち、予期せぬ1,000ドルの支出を賄えるだけの貯蓄を有している人は40%しかいません)。

3/6/9ルールで考える

3/6/9ルールを使って、生活防衛資金をいくら貯めるべきかを考えてみるのもいいかもしれません。

3カ月分の支出を貯める場合

安定した仕事に就いていて給料が安定しており、負債は最小限で、住宅ローンや扶養家族のいない一人暮らし。最後の手段として親と同居するという選択肢も常にある場合、生活防衛資金はかなり少なくて済みます。

6カ月分の支出を貯める場合

子どもがいて、住宅ローンや学生ローンなどの多額の負債を抱えている。扶養家族がいる場合、さらに余裕が必要になります。

9カ月分の支出を貯める場合

契約社員やフリーランスなど、仕事が不安定、あるいは収入が不定期。子どもがいて、かつ自身が家族の中で唯一の稼ぎ手である場合、9カ月分の支出賄う現金資金を用意するのが理想的です。

生活防衛資金を維持しておくべき場所は?

生活防衛資金に必要となる最も重要な点は、流動性です。つまり、違約金や手数料なしで、すぐにその現金が手に入るということです。

そのため、IRAのような投資先に保管して資金を動かせなくするのではなく、普通預金や当座預金、金融市場預金口座に保管しておくとよいでしょう。


Source: Emergency Fund Calculator