個人情報と公開していい情報の境界線は、かつてないほど曖昧になっています。
ニューヨーク・タイムズ紙が言うところの「個人的に大事なことばかり話して、会話のやり取りを怠ること」という意味の「オーバーシェアリング(個人情報の過剰で不適切な公開)」は、誰もが一度くらいはやったことがあるのではないでしょうか。
例えば、Facebookを個人の日記のように使っていませんか?
同僚に別れた恋人との間の一部始終をすべて教えていませんか?
会話がいつも自分の一人語りになっていませんか?
周りの人に情報を多く流し過ぎているかもしれません。
オーバシェアリングの問題点
個人情報を共有し過ぎると深刻な問題が起きる可能性があると、心理療法士のAmy Morinがフォーブス誌に書いています。
知らせるべきでない人に個人情報を明かし過ぎると、自分の身を危険に晒すおそれがあります。あなたが共有した個人情報のせいで不快な思いをした人たちと疎遠になることもあります。
また、あなたのことを一番に考えていない人に、あなたの抱える問題について詳しく話すと、その人たちに利用される可能性もあります。
婚姻と家族の認証セラピストNicole Arztによると、善意や良かれと思ってだとしても、オーバーシェアリングは健全な人間関係や恋愛を発展させるものではありません。
それどころか、オーバーシェアリングは「相手を気まずい気分にさせる傾向があり、相手があなたが共有した情報に合わせなければならないというプレッシャーを感じ、それが居心地の悪さや反感の原因になるかもしれません」。
では、どこからが情報を共有し過ぎなのかを、どのように見極めればいいのでしょうか?
また、その境界線を越えないようにするにはどうすればいいのでしょうか?
オーバーシェアリングをしてしまう理由
なぜ自分の美容師に何でも話せる気がしているのでしょう?
なぜ飛行機で隣に座った見知らぬ人にパートナーが抱えている問題について話すのでしょう?
一体全体、どうして同僚にあなたの中学生の時の恥ずかしい思い出を話しているのですか?
「Psychology Today」でMorinは、オーバーシェアリングをしてしまう主な5つの理由は、以下の通りだと言っています。
1. 間違った親近感
2. 見知らぬ人への安心感
3. 焦って関係を深めようとする間違った試み
4. 人との境界線の甘さ
5. 誰かを安心させるための軽率な行動
美容師が物理的に近い距離にいると、本当に親密ではなくても親近感が生まれるのでしょう。飛行機で隣り合わせた人には二度と会わないだろうと思うので、安心して胸の内を明かすことができるのでしょう。
また、最初に恥ずかしい話を打ち明けてきたのは同僚のほうで、気まずさを少しでも減らそうと自分の過去のことを話しているのかもしれません。
オーバーシェアリングをしてしまう理由を特定することで、今後オーバーシェアリングをしないようにすることができます。
オーバーシェアリングの兆候
当然ながら、オーバーシェアリングかどうかの境界線は、その人との関係性や物理的に今どこにいるかなど、文脈的な要素によるものが大きいです。
人から直接「やり過ぎだよ」と言われる以外で、友だちですら「TMI(Too Much Information=余計な情報)」だと思っている兆候をいくつかお教えします。
人間関係のバランスが崩れている
心理学者のAndrea Boniorは「Real Simple」で、「自分が相手について知っていること以上に、いろんな人が自分のことを知っているような気がしたら、間違いなく公開する情報を吟味した方がいいです」と言っています。
沈黙が怖い
沈黙を破るのはいつもあなたの方ですか?
周りの人は、黙っていても全然平気かもしれませんし、あなたが沈黙を破ったことに違和感すら覚えているかもしれません。
極端な個人情報を漏らしていなくても、何も共有する必要がない流れでオーバーシェアリングしている可能性もあります。
好きな人がセラピストのように感じる
親友というのは良い聞き役でもあるでしょうが、その友だちと対等に付き合っているか、それともセラピーのようにガス抜きをさせてくれることを期待しているのか、自問自答してみましょう。
SNSで誰も絡んでこない
SNS上での交流を解釈する厳密なルールはありませんが、仲の良い友だちですら何も言ってきたり、コメントしたりしない場合は、自分のアカウントを個人的な日記のように使っているかもしれない、と考えみたほうがいいかもしれません。
文字通り仕事をしている
同僚に個人情報を共有し過ぎているかもしれないと思っている場合は、すでに同僚に個人情報を共有し過ぎています。
オーバーシェアリングをやめる方法
オーバーシェアリングをしないようにする一番の方法は、そもそもなぜ情報を共有したくなるのかを明らかにすることです。
Arztは、情報を共有し過ぎる理由がわかると、そのパターンを崩せると書いています。例えば、「人の注意を引きたいからオーバーシェアリングをしているんだとわかったら、何がきっかけで注意を引きたいと思うようになったのかを考えることができます。
不安があるからオーバーシェアリングをしていると思うなら、自分を一番不安にさせる状況について考えてみましょう」。
オーバーシェアリングをしてしまう理由を分析できたら、以下の情報を共有する癖を抑える方法を試してみてください。
・時間制限を設ける。一度に何分も話していると、会話が一人語りになります。
・別のはけ口を見つける。投稿する代わりに日記を書いたり、声に出して消化したい場合はボイスメモに残してみましょう。
・傾聴をやってみる。いつも自分ばかりしゃべるのではなく、相手に質問をしてみましょう。
・感情的な時にはSNSをしない。これはどんな状況でも大事な生きるためのルールです。
オーバーシェアリングから正常に戻る方法
もしかしたら、情報を共有し過ぎてパニックになっている最中に、この記事をクリックした人もいるかもしれません。
うっかり口を滑らせたり、情報を漏らしたりした後に、後悔した経験は誰にでもあるはずです。大事なのは、それに対処して、すぐに前に進むことです。
話題を変えたり、その場の空気を明るくしたりして、すでに出してしまった情報のことを考え過ぎて発狂しないようにしましょう。
また、オーバーシェアリングが自分の一部になってしまっている気がする人は、適切な専門家やセラピストに相談してください。
Source: Amy Morin, Forbes, Psychology Today, Real Simple, Social Pro