AppleがAIの盛り上がりにかなり出遅れていることは周知の事実です。

2022年後半から2023年初頭にかけての生成AIブーム以来、テック業界のあらゆる場所で人工知能を使った「何らかの」取り組みが行なわれており、Appleはこのテクノロジーを使って何をするのだろうと世界中が注目してきました。

そして今、iOS 18のようなAppleの大きなソフトウェアアップデートが同社初の人工知能への大きな進出となる、という噂が飛び交っています。

今年iPhoneをアップデートしたらChatGPTに似たバージョンのSiriになっていたり、PagesやKeynoteなどのAppleのアプリを使ったときにAIアシスタントが役立ってくれたりしたとしても、驚きではありません。特に画期的なことではありませんが、AIをプラットフォームに統合しているほかの各社と並ぶことになります。

もちろん、Appleはこうした機能を独自の大規模言語モデル(LLM)で実現するだろうと誰もが予想していました。しかし、どうやら援軍を呼ぶようです。

Appleは「Gemini」を搭載するべくGoogleと交渉中

Bloombergによると、AppleはiPhoneの今後のAI機能にGeminiを使用するためGoogleと交渉中だといいます。

Appleが他社のAI技術を使うという考えは確かに驚きです(Googleほどの大きな競合であればなおさらです)が、Appleが使うAIエンジンはGeminiだけではないでしょう。Appleはそれでもオンデバイスの生成AIには自社のLLMを使用すると言われています。

iPhoneが単独で処理できることはすべてAppleが行なうということです。しかし、クラウドへのアウトソーシングが必要なAIタスクはGeminiに引き渡されることになります。

これはAppleにとって必ずしも体裁の良い話ではありません。これをすでに実行に移した会社がほかにあるのです。SamsungがGalaxyにAI機能を搭載するためにGoogleと提携したのですから、Googleがほかの企業と同様の提携を結ぶ可能性はあります。

しかしそれが結局のところ「Apple」です。確かに、同社は特定の機能や発展のためにGoogleのような企業と提携しています(GoogleはSafariのデフォルトの検索エンジンになるために何年も大金を支払っています)が、絶対にそうしなければならない限り競合他社のAI技術を使いたがるとは想像できません。

Apple独自のAIこそ市場で「もっとも先進的」なだけでなくもっとも安全だ、と宣伝する広告が目に浮かびます。使っている機能の半分がGoogleのサーバーに送られてGoogleのAIで処理されるとなると納得するのが難しい話です。

とはいえ、一部で予想されているようにAppleが本当に生成AIの分野で遅れをとっているのであれば、このような提携を結ぶ必要があるのかもしれません。

投資家は好意的に受け止めているようです。このニュースのあとでAppleの株価は2.5%上昇、アルファベットの株価は6%上昇しました。

Appleは他社がすでに備えている機能を実装するために必要なAI技術を手に入れ、Googleはそこから大金を稼ぐというわけです。言うまでもなく、この動きはOpenAIやMicrosoftとの競争を激化させるものです。

MicrosoftのCopilotはChatGPTで動作する一方、AppleとGoogleはGeminiで動くことになります。

もちろんまだ何も決まっていませんし、あくまでニュースに基づいた話です。

AppleはAI分野において、機能に関しては未だ決定的なことを発表していません。Appleの研究者たちは、同社のAIモデル「MM1」オープンソースの画像エディタ画像アニメーターなど、AIに関する成果の発表を続けています。そして、こうした開発の成果はその一部、あるいはすべてが実際のiOSやmacOSの機能になる可能性があるわけですが、実現には至っていません。

GoogleのAI「Gemini」に登場した新機能、回答の一部を選択して書き換える方法とは? | ライフハッカー・ジャパン

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Source:bloomberg, theverge, google, reuters, macrumors