肥料の役割は、バランスのとれた一定のレベルの栄養素を与えて、より健康で強い植物をつくること。
これにより、植物の根が強くなる、花が長持ちするといった効果が期待できます。
一般に、早春から春の盛りにかけての植物の成長期が、肥料を与えるのに適した時期。とはいえ、現実はそれほど単純ではありません。
それぞれの植物が必要とする栄養素やタイミングは異なるので、適切に肥料を与えるには、多少の科学的知識が必要になります。
ここで難しいのは、肥料が少ないのか、それとも与えすぎなのかの判断です。
この記事では、あなたが育てている植物が、栄養素が足りなくて「お腹がペコペコ」の状態なのか、あるいは肥料のもらいすぎで成長に問題が出ているのかを判別する方法をお教えしましょう。
植物が肥料を必要としている場合のサイン
植物に関する情報サイト「Garden Guides」の解説によれば、植物には適切なバランスで栄養素を与える必要があり、なかでも重要なのが「肥料の3要素」と呼ばれる窒素、リン、カリウムの3種類だということです。
これらの3要素が不足している場合、痩せた土壌、PHレベルの不均衡、水不足など、いくつかの要因が考えられます。
ですが、重要な栄養素が足りていなくても、植物は「お腹がすいた」と人間に直接訴えられません。
また、水や日光が足りない時とは違う兆候が現れます。
先ほどのGarden Guidesの記事によると、肥料が足りない時、成分ごとに次の兆候が現れるそうです。
- 窒素不足の場合は、まず葉の先端が黄色く変色し、さらに茎に向かって黄色い部分が広がる。
- リンが不足すると「植物の内部に窒素が蓄積することで、くすんだダークグリーンに色が変わり」、時には葉が紫に変色する。
- カリウムの量があまりに少ない場合は、葉に小さな斑点ができ、これがだんだん大きくなって脱色した部分が目立つようになる。
こうした兆候が現れた場合、バイオテクノロジー企業のGreenwayでは、土壌改良剤や、ゆっくりと成分を放出するタイプの肥料を追加して、時間をかけて植物を健康な状態に戻す方法をすすめています。
「肥料やけ」の症状を知ろう
肥料不足とは真逆のケースが、栄養素の「与えすぎ」です。
これは「肥料やけ」と呼ばれる症状を引き起こします。肥料を与えすぎると、植物中の水分が土に吸い取られてしまい、以下のような症状が出ます。
- 植物がしなびて焼けたような見た目になる(「肥料やけ」という名前はここから来ています)。
- 葉はベージュや茶色になり、活力を失ってしなびてしまう。
- 緑の葉に白い筋が入るのも、肥料の与えすぎによる見た目の変化の一例。
こうした兆候が現れた時の対処について、「Den Garden」では、土の中に残っている肥料を目に見える範囲で取り除き、さらに「大量の水やりで肥料を押し流す」方法をすすめています。
大量に水をやる際には、植物が水浸しにならない範囲で、できる限り多くの水を与えて根の周囲から余計な肥料成分を流し出してしまいましょう。
ただし露地栽培の場合、大量に水で押し流す方法や化学肥料の与えすぎは、水系に悪影響を及ぼすという問題があります。流された肥料は藻類が作り出す自然界の生態系を破壊し、魚類や水棲生物を死に至らしめる恐れがあるからです。
肥料のやりすぎを防ぐために、植物の栄養分として、ゆっくり長く効くタイプの肥料を選ぶか、自然の成分を活用する有機堆肥を与えることも考えてみてください。
──2021年7月9日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
訳: ガリレオ
Source: Garden Guides, Greenway, Den Garden, Scientific American, Gardening know how, Better Homes&Gardens, Southern Living