並外れてすばらしいプレゼンテーションを行なうことにかけて、スティーブ・ジョブズに並ぶ人はそういないでしょう。
「スティーブは生まれながらの才能をもっていた」と、ビル・ゲイツはポッドキャスト『Armchair Expert With Dax Shepard』の最近のエピソードのなかで語っています。
ジョブズ流のプレゼンテーションについて取り上げた書籍の中でもよく読まれている1冊を手がけた私としては、「生まれながらの才能」というゲイツの言葉に耳がぴんと立ちました。私は、ジョブズがプレゼンテーションを何度も繰り返し練習し、時間をかけてうまくなっていったことを知っていたからです。
ゲイツは、ジョブズのスピーチの上手さは生まれつきのものだと誤解していたのでしょうか。そうではありません。ゲイツはよくわかっていて、すぐにこう続けました。
リハーサルもしていたけれど、それでもジョブズのプレゼンテーションを見るのは楽しかった。
彼の天才的なところは、本番で、まるで今その場で思いついたことを話すように見えるところなんだ。
ゲイツの言う通り。ジョブズは、何の努力もしていないように見せるために、努力を重ねていたのです。
うれしいことに、この「努力していないように見える」ジョブズ流プレゼンテーションは、みなさんにも真似できるものです。
以下にご説明する5つの戦略をリハーサルに取り入れるだけです。この戦略によって、ジョブズのプレゼンテーションは、ビジネスの場におけるゴールドスタンダードになったのです。
1. リハーサルは早くからはじめる
有名な基調講演や新製品発表のプレゼンテーションをする際、ジョブズは、本番の数週間前からリハーサルに力を入れていました。
私がコーチングする起業家やビジネスリーダーの多くは、本番前日の夜か、当日の朝までプレゼンテーションの練習をしません。
ですから、私が新しいスケジュールを渡すと、彼らは驚きます。思っていたよりもずっと早くから練習をはじめることになっているからです。
2. リハーサルは声に出して
リハーサルとは何かというと、本番と同じようにプレゼンテーションの練習をすることです。
ジョブズは、限られた数人だけを部屋に入れ、壇上に立ってリハーサルをしました。リハーサルを見たことがある1人の幹部は、ジョブズが壇上に上がり、大きな声を出して、まるで満員の聴衆を前にするかのようにプレゼンテーションをしたので驚いたと語っています。
黙って頭の中でスライドを読むよりも、声に出して自分の考えをはっきり言葉にするほうが難しいものです。
プレゼンテーションは声に出して練習しましょう。
3. スライドや文章、ジェスチャーを改善していく
ジョブズは、ビジュアルや言葉選び、ボディランゲージなど、プレゼンテーションのあらゆる面に気を配っていました。スライドのデザインや説明に気に入らないところがあると、それを修正して次のリハーサルに臨みました。
リハーサルをしているとき、手直しが必要なスライドや言葉があればメモしておきましょう。また、ボディランゲージや話し方にも注意を払ってください。
自分のプレゼンテーションを動画に撮って見てみましょう。自分で気づかなかった、よくない癖が見つかるかもしれません。また、どこでジェスチャーを入れれば、自分の考えをより効果的に伝えられるか考えましょう。