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「成長が止まらない」巨人・山瀬慎之助が語るヤクルト・奥川恭伸の凄さとは?

Text:大利実

右ひじ炎症の影響でキャンプは二軍スタートとなるも、順調な回復ぶりを見せる奥川恭伸(ヤクルト)。
星稜高校(石川)時代は甲子園に4季連続で出場したが、実は他の高校へ進学する可能性もあったという。

奥川恭伸「セ界から世界へ」①(別タブで開きます)

■奥川恭伸「セ界から世界へ」③負けず嫌い

再び山瀬慎之助(巨人ドラフト5位)の登場。女房役である山瀬が、奥
川の内面的なすごさを解説してくれた。
「小学校のときには奥川ぐらいのピッチャーが、
周りにたくさんいました。でも、奥川がすご
いのは成長が止まらないこと。それが、今の
奥川がある一番の要因だと思います。向上心
があるし、そのときの自分を客観的に見て、
判断して、次につなげられる力があります」

奥川の心の根底にあるのは、「負けず嫌い」
の精神だ。宇ノ気ブルーサンダーの広瀬さん
は「小学生のときから、負けるとよく泣いて
いた」と明かす。中学に入ってからも、3年
春にライバルの星稜中に敗れたときは目一杯
泣いた。その悔しさが、直後の全中優勝につ
ながったといっても過言ではない。

「負けず嫌いの原点は……、7つ上の兄の存
在です。7つ上ですけど、何をするにも負け
たくなかった。そういう存在が近くにいてく
れてよかったです」
高校に入ってからは、日本航空石川高とい
う壁が立ちはだかった。1年秋の県大会決勝
で5回途中8失点打ち込まれると、再戦とな
った北信越大会決勝でも5回10安打7失点。
林和成監督、奥川、山瀬に「印象に残る試合
は?」と聞くと、口を揃えてこの秋の試合を
挙げる。それだけ、強烈なインパクトを植え
つけられた。

「調子が悪かったわけではなくて、相手のバ
ッターが上でした。林先生から、『航空が同
じ県内でよかったな。星稜選んでよかったな』
と言ってもらって、『何としても次はやり返
したい!』と強く思うようになりました」
じつは、高校進学を考えるとき、日本航空
石川高が候補に挙がっていた。あとで触れる
が、股関節の硬さに悩んでいた奥川は、日本
航空石川高にある初動負荷トレーニングの施
設に興味を持ち、「ここに入れば、股関節が
柔らかくなり、もっといいピッチャーになれ
るのでは?」と思ったというのだ。
最後は、
山瀬からの「星稜で一緒にやろう!」という
言葉で、星稜高進学を決めた経緯がある。

「冬は食事で体重を増やして、今までやったこ
となかったウエートトレーニングにも力を入
れました。きつかったですけど、『もう負け
たくない。航空石川を抑えるため!』と言い
聞かせて。体重はひと冬で7キロ増えました」
そして、2年春の決勝で3度目の対戦が実
現すると、奥川は4安打12奪三振の完封で、
リベンジを果たした。

次回、奥川恭伸「セ界から世界へ④投球フォーム」へ続く

(初出:【野球太郎No.033 2019ドラフト総決算&2020大展望号 (2019年11月27日発売)】)

執筆:大利実(おおとし・みのる)
1977年生まれ、神奈川県出身。中学野球ライターの草分け的存在。『メルマガでしか読めない中学野球』を月3回配信している。出身地・神奈川の高校野球もライフワーク。『高校野球継投論』(竹書房)が好評発売中。

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