米大統領選2020を10のファクターで予測。トランプ勝利の奇跡はあるか

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11月3日の投開票日まで1週間を切った、アメリカ大統領選挙。現地からはトランプ陣営の不利が伝えられていますが、同様の報道がなされていた前回2016年の選挙ではヒラリー候補が結果的に敗れてトランプ氏が勝利し、民主党にとっては「悪夢」のような結果となってしまいました。はたして2020年、あの時の「悪夢の再来」はありうるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住の作家・冷泉彰彦さんが、2016年と今年の選挙戦を徹底比較し、その行方を占っています。

大統領選直前情勢、2016年との比較ポイント

2020年の米大統領選挙は、投票日までちょうど1週間となりました。様々な予測が出ていますが、最新の動向としては、

● 政治サイト「リアル・クリアー・ポリティクス

  • 世論調査平均値は、バイデン50.8%、トランプ42.9%
  • 選挙人獲得予想(当選ライン270)バイデン232、トランプ125
  • 僅差州も勝敗判定すると、バイデン341、トランプ197
  • 賭け屋のオッズ最新平均値、バイデン66、トランプ35

● 政治サイト「エレクトラル・ヴォート・コム

  • 最新調査のみ反映で、バイデン378、トランプ160

● 政治サイト「ファイヴサーティエイト

  • バイデン勝利の可能性87%、トランプ勝利の可能性12%
  • 僅差のため、勝敗が再集計次第となる確率5%

という予想が出ています。アメリカ国内の雰囲気もそんな感じになってきました。ちなみに、現地10月26日には株価(特にNYダウ)が大きく下がっていますが、これはコロナ感染の再拡大懸念と、経済刺激策の成立見通しが立たないことが理由です。市場はバイデンを嫌っているわけではありません。

とはいえ、選挙はフタを開けてみないと分からないのも事実です。今回は、とりあえず前回の2016年との比較を意識しながら、両候補に対してどのように票が動くのか、要素別に直前の状況を考えてみたいと思います。

1.隠れトランプの存在は?

前回の2016年の選挙では、「隠れトランプ」の存在が指摘されました。世論調査員には「ヒラリーに入れる」と言いながら、あるいは家族や同僚には「勿論ヒラリーさ」と言いながら、投票所では突如豹変して「衝動的、あるいは秘密裏にトランプに入れた」という票が相当にあったというのです。各種のメディアや、調査によればその数は、全体の2%から6%程度と言われています。

仮に2016年の「隠れトランプ」が本当だとして、今回も同じように数字に出ない票をトランプは隠し持っている可能性があるのかというと、ゼロとは言えないまでも、こちらは相当に少ないと思われます。

理由としては、まずこの4年間「トランプ支持」を隠し通すことは難しいし、例えば家族にバレて離婚したり、子供が口をきかなくなったりという例はあっても、4年前も秘密で、今までずっと秘密というケースは少ないと思われるからです。また胸を張ってトランプ支持だとカミングアウトする例もあるでしょう。

勿論、秘密結社のようにトランプに忠誠を誓い、その一方でそれを周囲には秘密にしているという層はあるでしょう。ですが、例えば普段は平均的な市民を偽装していて、週末になるとトランプ派に変身して、暴力行為などを行なっているような「活動家」を除けば、支持を隠す理由は確実に減っていると思われます。

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