スマホが乗っ取られ、15分で預金が消える…「SIMスワップ詐欺」の手口

　ある日、使っていたスマートフォンがつながらなくなる。携帯電話会社に問い合わせると、SIMカード再発行や他社への乗り換えの手続きがされていると告げられ、自分の銀行口座から多額の預金がなくなっていた――。携帯電話番号を乗っ取られて悪用される「SIMスワップ詐欺」が近年相次いでいる。携帯番号の乗っ取りから不正送金まで約15分だったケースもあるという。

　「周りの人は使えているのに、おかしいな」

　2022年7月のある日の午後、神戸市で港湾運送業を営む谷川龍二さん（61）は、自分のスマホが通話できなくなっているのに気づいた。その日のうちに職場近くの携帯電話販売店に行くと、ある事実を告げられた。遠く離れた京都府長岡京市の販売店で、何者かが解約して番号を変えないまま他社へ乗り換える手続きをしていた。

　悪い予感がして、すぐに契約しているインターネットバンキングで口座を確認した。すると、約1000万円が見知らぬ相手に送金されていた。その後、犯罪グループが谷川さんの携帯番号を乗っ取って操作した疑いがあることが、警察の捜査で判明した。

　自らの手元にスマホがあるのに、なぜ携帯番号が乗っ取られるのか。その主な手口はこうだ。

　まず犯罪グループは、…