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なかなか進まなかった日本のキャッシュレス決済ですが、コロナ禍の影響で普及する兆しをみせています。しかし、進んでいるのは消費者向けのBtoCで、企業間取引のBtoBのキャッシュレス化は、それほど進んでいないようです。
日本で古くから行われている企業間取引の決済方法は、ネットプロテクションズの「企業間決済に関する実態調査」によると、約90%が「現金・請求書払い」です。
商品やサービスを注文すると、納品とともに請求書が届き、それを集計して支払い期日に指定口座に振り込むという、掛け取引というスタイルです。また、小切手や、支払いサイトが長い約束手形での決済も多くの企業が採用しています。
「現金・請求書払い」は、支払い期日を取引先や自社の事情により設定できますし、支払い期日にまとめて決済できます。また、手形の支払いサイトの平均日数は100日以上ですから、余裕をもって資金繰りにあたることができます。
しかし、リモートワークを導入したにもかかわらず、請求書発行などの事務作業のために経理部門が出社を余儀なくされるなど、「現金・請求書払い」という日本の商慣習そのものが、DX推進の障壁になっているという実情も見逃せません。
そこで見直されているのが、企業間取引でのキャッシュレス決済です。キャッシュレス決済といえば、すぐに思い浮かべるのはクレジットカードの利用ですが、クレジットカード決済サービスも増加傾向にあるものの、日本のB2B決済は銀行振り込みが中心で、クレジットカードなどを使ったキャッシュレス決済はほとんど浸透していないようです。
ただし、クレジットカードなどを使ったキャッシュレス決済は、利用する企業にとってのメリットも多く、また、企業間取引でのクレジットカード決済サービスも増えていることから、徐々に広がりつつあります。
クレジットカード決済サービスのメリットは、決済後の売上処理が簡単なこと、消し込み作業の負担軽減などが挙げられますが、さらに、追い風となりそうなのが2022年1月に施行となる改正電子帳簿保存法です。
改正電子帳簿保存法によって、領収書などの国税関係書類を紙で保存する必要がなくなることは、企業間取引にクレジットカードを利用するハードルが、かなり低くなるとみられています。
また、クレジットカードで企業間の支払いをした場合、月末を待たずに決済を行ったとしても、実際に資金が必要になるのはカードの引き落とし日です。支払う側は支払いを遅くすることができ、受け取る側も早めに売上金を回収することができますから、企業のキャッシュフローの改善につながるとも指摘されています。
クラウド会計の普及によって、カードの利用明細を自動的に会計ソフトに取り込んで処理できるようになったことも影響しているのかもしれません。
社員が日常で使う小口の経費清算などは、これまでは社員が立て替え、後で清算するというスタイルでしたが、今は法人クレジットカードの利用が増え、小口の経費についてはキャッシュレス決済が進んでいるようです。
欧米に比べると遅れているとされてきた日本での法人決済のキャッシュレス化も、会計システムとの連動やキャッシュフローの改善など、クレジットカードを使うメリットの認知が広まれば、普及が進むのではないでしょうか。
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