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持続化給付金やゼロゼロ融資などの支援策によって、コロナ禍で経済状況が逼迫する中でも、企業の倒産件数はある程度抑えられてきた。そして、外国人観光客の受け入れも条件付きで再開となり、旅行関連や小売業者の景気回復への期待も高まっている。
しかし、帝国データバンクの企業倒産件数(2022年5月報)の集計・分析によると、前年同月の461件から517件と12.1増となり、2021年5月以来1年ぶりに倒産件数が増加に転じたこと明らかになった。
倒産件数が前年同月比増となったのは7業種中5業種で、中でも建設資材の価格高騰や人手不足による人件費増の影響もあって前年同月比25.0増となり、内装工事業などは57.1%の大幅増となっている。
また、サービス業や宿泊業、医療関連業、運輸・通信業も2か月連続で前年同月比2ケタ増となるなど、厳しい経営環境にさらされていることがうかがえる。一方、減少傾向を示しているのが小売業と飲食店で、こちらは3か月連続の2ケタ減という結果だ。
さて、給付金やコロナ融資で、何とか事業を続けてきたものの、あくまでも“一時しのぎ”に過ぎないことは、かねて指摘されてきた。その“一時しのぎ”の支援策“にも陰りが見えてきたようだ。
一方、足元を見れば、急激な円安に原材料価格の高騰など、景気後退につながる要素が山積している。さらに、倒産に至るのが、これまでは小規模零細企業が多かったが、負債1億円を超える中堅企業へ広がりつつあることも、大きな懸念材料だ。
食料品や日用品だけでなく、ガソリンや包装資材などの石油製品、木材や鉄骨資材など産業用製品の値上げも歯止めがかからない状態だ。しかし、この急激な物価高騰に対応するための価格転嫁をできないという、日本ならではの課題もある。
それは、物価上昇のスピードに賃金が追い付いていないということだ。物価変動の影響を除いた実質賃金は、前年同月比で0.2%減(今年3月)と3か月ぶりにマイナスに転じている。つまり、このまま実質賃金が上がらずに物価上昇が続けば、日本経済はスタグフレーションという最悪の事態に陥る可能性もある。
無利子無担保のコロナ融資、通称ゼロゼロ融資の総額は官民合わせて56兆円が投入されたが、その返済が始まると企業の経営環境、とくに中小企業は、ますます厳しい状態に置かれることになりそうだ。
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