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仕事において性別による垣根がなくなりつつあり、以前より活躍の場が増えていると感じている女性も少なくありません。しかしながら、男女間での賃金格差はまだまだ根強く残っている状況です。企業は男女間の賃金格差を開示する必要があり、早急に改善が求められています。
そこで本記事では、男女間の賃金格差の背景や、差異の開示の動向、さらに格差是正のための取り組みについて解説します。
男女雇用機会均等法にあるように、仕事において性別における格差をなくす取り組みが盛んです。しかし実際には男女間で賃金の格差が発生しており、日本の女性の平均賃金は男性の4分の3の水準であるとも言われています。この背景には、主に以下の要因があります。
日本の企業は、一般的に役職に応じて賃金が高くなる傾向にあります。そのため一般社員よりも、管理職のほうが賃金は高くなります。
しかし、管理職はまだまだ男性のほうが多く見受けられます。内閣府の調査(男女共同参画白書 令和元年版)によると、女性の管理職の割合は2018年の時点で14.9%となっています。徐々に女性管理職が増えているものの、男性と同数程度にはまだまだ及びません。このような背景から、女性全体で賃金が低くなる傾向と言えるでしょう。
女性は出産や育児などの役割を担うことが多く、家庭と仕事を両立したいと考えている人が少なくありません。そのため、正社員よりも残業が少なく働く時間に融通がききやすい、パートタイマーや派遣社員など非正規雇用で働く女性が多い傾向です。
内閣府の調査(男女共同参画白書 令和3年版)では、2020年時点で女性の非正規雇用の割合は54.4%となっており、男性の22.2%の2倍以上となっています。
ただし、以前から問題視されているように、正規雇用と非正規雇用では大きな賃金格差があります。是正が進んでいるとはいえ、非正規雇用の場合は賞与やインセンティブなどがない、もしくは少ないため、正規雇用に比べて非正規雇用のほうが低賃金となっています。
このような背景から、非正規雇用の多い女性は全体として賃金が低くなっています。
これまで企業は、自社の従業員にどのくらいの賃金を支払っているか公表する必要はありませんでした。しかし男女間の賃金格差が問題となりつつある今、賃金を公表することが求められてきています。
今まで、投資家や金融機関は「売上」「利益率」など、目に見える情報から企業の成長可能性を判断していました。これらの情報は「財務情報」に該当します。
しかしサステナビリティ時代が到来し、「新しい価値を創造して持続的に成長していけるか」という視点が重視されるようになりました。そのため、2023年には有価証券報告書に非財務情報も記載することが義務付けられる見込みです。
非財務情報には「人材育成」「女性管理職比率」などが該当し、「男女間賃金格差」も含まれます。そのため、企業の男女間の賃金格差についても開示しなければなりません。
2022年7月に女性活躍推進法が改正され、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主は「男女の賃金の差異」を情報公表項目に追加することが決まりました。
雇用形態や役職、勤続年数などで賃金格差が発生している場合や、賃金格差が発生している背景や事情がある場合には、追加情報として公表することが可能です。また、時系列で差異を公表し、経年による変化を示す必要があります。
男女間の賃金格差をなくすために、企業はどのようなことを取り組むべきなのでしょうか。厚生労働省が発表しているガイドラインを参考にして紹介します。
賃金の決定や、昇給・昇格の基準を明確にし、可視化しなければなりません。また人事評価基準についても、どのような指標で評価されるのか明瞭化することが重要です。
さらに、家族手当や住宅手当などの生活手当を全労働者に対して公正にする、出産・育児が評価に影響しないようにする、などといった取り組みも求められます。
人材配置や仕事配分、人事評価などにおいて、男女で異なる取り扱いをしていると、男女間での賃金格差が生じやすくなります。これらを見直して、均等にするため改善することが必要です。
過去に男女間で異なる雇用管理をしていた場合や、職場に男女の役割分担意識が根付いている場合などは、根本的にこれらを見直さなければなりません。
女性に対して社内訓練や研修を実施したり、男女関係なく人材配置や昇進のチャンスを与えたりするなどの、ポジティブ・アクションが重要です。
男女間の賃金格差は、役職や雇用形態などの要因から発生しやすくなっています。しかし、優秀で意欲のある人材を確保するためには、男性・女性の性別の垣根をなくし、平等に活躍のチャンスを与える取り組みが求められます。
今後、有価証券報告書において企業の男女間賃金格差が開示される方向性であることも踏まえ、企業は早急に見直す必要があるでしょう。まずは自社の男女間の賃金格差を数値化し、やるべきことを見直しましょう。
【参考サイト】
男女共同参画局 第1節就業をめぐる状況
男女共同参画局 第2節企業における女性の参画
厚生労働省 女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ
厚生労働省 男女間の賃金格差解消のためのガイドライン
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