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賃金を巡る労使交渉が本格化している。今年の春闘は最大のテーマは、物価上昇率を上回る賃上げを実現できるかどうかである。
連合は、5%前後の賃上げを目標に掲げているが、商工中金が中小企業2,284社に実施した調査によると、今年の賃上げ率は1.98%にとどまる見通しだ。これでは、異次元とも思える物価上昇率に及ぶべくもなく、実質賃金は大幅に目減りすることになる。
しかも、一部の大企業が大幅な賃上げ実施を表明しているものの、2023年3月期の決算見通しを下方修正する企業がここにきて増えていることも、賃上げムードにブレーキがかかる要素になりそうだ。
業績が賃金に影響するのは、民間企業の宿命でもあるが、景気動向とは無縁なのが公務員の給料である。期待通りの賃上げが実現できなければ、公務員になっておけばよかったと思うビジネスパーソンも多いのではないだろうか。
では、公務員と民間企業の収入の実態を比較してみよう。2022年4月1日時点の国家公務員の平均給与月額(令和4年国家公務員給与等実態調査)は413,064円で、平均年収は677万4,249円だ。
地方公務員の平均給与額(令和4年地方公務員給与実態調査)は401,372円で、平均年収は660万2,569円ある。
一方、民間企業は、国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、男性545万円、女性302万円で、給与所得者の平均年収は443万円となり、公務員の方が収入は多いことがわかる。
ベネッセの調査によると、高校生が目指す職業の第1位は地方公務員だ。景気動向に左右されずに収入を得られること、また懲戒免職となるような不祥事を起こさなければクビになることもない安定性が、公務員人気の理由である。
さて、今年の春闘が、値上げラッシュと公務員人気を上回るほどの妥結額となるかどうか、注意深く見守る必要がありそうだ。
■参考サイト
総務省|2 平均給与月額
人事院|令和4年国家公務員 給与等実態調査報告書
国税庁長官官房企画課|令和3年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
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