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今年の春闘は、大手企業が軒並み労働組合の要求金額を全て受け入れる姿勢を示すなど、まさに賃上げムード一色に包まれています。しかし、それが中小企業にまで波及していくかどうかが大きな課題です。中小企業の賃上げへの対応はどうなるのでしょうか。
日本商工会議所が明らかにした、今年の春闘を巡る動向調査の途中集計によると、東京都を中心とする493社のうち、58.2%に当たる287社の中小企業が賃上げを予定していることがわかりました。賃上げ実施予定企業の28.5%は、消費者物価上昇率の約4%を上回る賃上げ率に取り組む見通しとなっています。
この春闘の動向調査は、日本商工会議所と東京商工会議所が、全国6,013社の中小企業を対象に2023年2月に実施したものです。今回発表されたのはその調査の一部(493社で、そのうち従業員数100人以下が約9割、101人以上が約1割)を集計したものです。
大企業の中には、大幅賃上げ実施を表明して大きな話題を集める場合もあります。しかし日本企業の7割が中小企業です。一部の大企業だけが賃上げを実施しても、景気回復につながるようなうねりとはならないでしょう。
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さて、今年の春闘の最大のテーマが、物価上昇に見合う持続的な賃金上昇と経済の好循環の実現ですが、連合は定期昇給分2%とベースアップ3%を含め5%以上の賃上げを要求する方針を打ち出しています。
しかし、たとえ5%の賃上げが実現しても、昨今の値上げラッシュには、とても追いつきそうにありません。「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」(厚生労働省)をベースに民間シンクタンクが予測した一例をみてみると、賃金上昇率は2.70%という数字もみられます。
つまり、実質賃金がマイナスとなることは避けられず、家計への負担はますます重くなりそうです。しかも、賃上げが日本企業の7割を占める中小企業のどこまで広がるかも、現段階では、霞がかかった状態です。
大手も中小も、そして零細企業に至るまで、日本全体が賃上げとならなければ、経済の好循環も生まれません。中小企業が賃上げに積極的に取り組むことができない要因の一つは、取引価格の価格転嫁が進まないことにあります。さらに人手不足が追い打ちをかけ、国内経済は「足踏み状態」という状況にあるようです。
価格転嫁の難しさや、景気の先行き不透明感など、必ずしも賃上げで経済の好循環となる環境にあるとはいえません。賃上げが中小企業にどれだけ波及するのかは、まだまだ見通せない、というのが実状のようです。
賃上げをすることができないために、人材確保ができない企業が、事業存続を断念する“人手不足倒産”も増えています。
原材料価格の高騰という逆風、それに伴う仕入コストの価格転嫁など、賃上げを経済の好循環につなげていくためには、まだまだ多くのハードルを乗り越えなければならないようです。さて、今年はどのような賃上げとなるのでしょうか。
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■参考サイト
PR TIMES|国内景気は足踏み状態、十分な価格転嫁進まず ― 2023年2月の景気動向調査
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