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新型コロナウイルス問題で社会が大きく変化した今、新たな一歩を踏み出す学生たちの意識も変わりつつあります。企業の採用戦略も、そうした変化に対応しなければなりません。では優秀な人材を得るためにはどうしたらよいのか、東京大学の就職先ランキングをテーマに考えてみましょう。
東大の学卒者は毎年3,000名程度ですが、理系を中心に大学院進学が多いため、実際に就職するのはその3分の1にあたる1,000名ほどです。かつては官公庁に入りエリート官僚を目指す傾向が強かったものの、現在は国家公務員試験を受ける学生数は大幅に減少しています。
今から約20年前の就職先ランキングを見ると、日本を代表する企業がずらりと並んでいます。中でも銀行や証券などの金融業と、メーカーなどの技術系企業の人気が高かったようです。ところが、その後国内の産業構造が変化するのに合わせて、東大生の就職先はコンサルティング企業などのサービス業が上位を占めるようになりました。
2023年の最新就職先ランキングによると、かつて上位を占めたトヨタ自動車、三菱商事、大和証券などは姿を消しています。代わりに圧倒的多数で第1位になったのは、なんと東京大学そのものです。この結果は2021年も2022年も同様でした。
母校の東大を除外すると、第2位の外資系企業アクセンチュアをはじめ、上位にはコンサルティング関連企業が多数ランク入りしています。続いてソニー、楽天、日本IBMが3~5位を占めており、技術系サービス企業の人気もここ数年のトレンドです。
東京大学は産学協創推進本部のもとで、スタートアップ推進部や産学イノベーション推進部など4つの部門を設立し、さまざまな分野で企業と連携しています。東大本部も企業としての支援機関をもち、起業家の育成やプロジェクト支援、共同研究など活動は多岐にわたっています。
その中には日本IBMや日立製作所もあり、それぞれ就職先ランキングの上位に入っています。IBMは2019年に東大と量子コンピュータ開発に関するパートナーシップを締結しました。前年はランク外でしたが、2023年はランキング5位にまで浮上しました。パートナーシップの影響が少なからずあると考えるのが自然でしょう。
こうした産学連携への取り組みは、今後の人材採用で大きな役割を果たすと考えられます。インターン制度を充実させて、学生に職場を開放することも重要ですが、企業側から積極的に教育機関に働きかけることも必要でしょう。企業にとっては研究開発のみならず、人材発掘の面でも効果が期待できそうです。
人材不足が今後も続くと見られる中で、優秀な人材を安定的に確保するためには、企業側から教育機関に積極的にアプローチすることも重要になりつつあります。産学連携を経営戦略に組み入れ、将来の社員を育成する段階から関わることが、企業と人材とを強く結びつける有効な手段になるかもしれません。
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