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6月に入ると、上場企業をはじめとする多くの企業が定時株主総会を開催します。ステークホルダーからの信頼と評価を高めるためにも、株主総会は成功裏に終了させなければなりません。成功のカギを握るのは事前準備です。そこで今回の記事では、定時株主総会の事前準備全般をまとめます。部門ごとのポイント詳細は、個別の記事でご確認ください。
目次【本記事の内容】
株主総会の全体的なスケジュールは、以下のように3つのステップで段階的に進められます。
1)事前準備(資料・書類の準備~日付・場所・目的事項の決定)
2)株主の招集(招集通知の作成~発送)
3)株主総会の実施
株主総会は一般的に、前半が報告事項で後半が決議事項という構成で進行します。大まかに分けると、報告事項の準備は主に経理部門が担当し、決議事項は法務と総務部門がメインで担当することが一般的ですが、もちろん各部門の担当者が連携することは必須です。
株主総会では、通期における会社の業績・財務・経営状況などが報告されるため、決算処理と同時に株主に開示する資料を作成しなければなりません。また、後半の決議事項では株主からの質問が予想されるため、想定問答集を準備する必要があります。総会の事前準備は、これらの資料や書類の作成が業務の大半を占めることになるでしょう。
株主総会が近づき、日付・場所や招集事項が決定したら当日の14日前までに、その内容を記載した招集通知を全株主に発送します。ここまでの準備が完了したら、直前に会場の準備やリハーサルを行い、当日に備えます。
株主総会前半の報告事項に関しては、経理部門が主導して準備を進めます。会社の経営に関わる情報を正確に報告する義務があるため、決算処理で作成する資料をベースにして、1年間の実績と今後の方針、さらに財務状況などを株主向けの資料として作成します。
報告事項の準備では、計算書類と事業報告書を準備する必要があります。計算書類には財務諸表と補助的資料が含まれますが、決算書の作成が順調であれば準備もスムーズに進むはずです。一方の事業報告書については、経営陣や総務部門をサポートしながら準備を進めることになるでしょう。
もう1つ経理部門には、株主総会後にも重要な業務が待っています。それは株主総会にかかった費用の計上です。この業務が終わって、ようやく経理部門は肩の荷を下ろせるのです。
企業内で法務部門の重要性が高まる中で、株主総会における法務の役割も重みを増しています。まず、法務部門は1年を通じて、会社のコーポレートガバナンスを管理しなければなりません。長期的視点では、これも株主総会の準備といえるでしょう。ステークホルダーの信頼を高めておくことが、株主総会の成功にもつながるからです。
さらに具体的な準備では主に決議事項に関わる業務を担当し、株主からの予想される質問に対しては、法的見地に立って他部門をサポートしながら想定問答集を作成します。また当日の質疑応答でも、法的な問題に関する質問があった場合に備えて、法務部門担当者は決議事項の場でスタンバイする必要があります。
株主総会の実務的な準備を担当するのが総務部門の役割です。そのため業務の幅も広く、会場の手配や懇親会などの段取りから始まり、株主への招集通知の作成と発送を行い、法務部門などと協力して想定問答集の作成にも関わります。
実際に株主総会そのものの進行を決めるのは総務が主体であり、出席者の人数などから会場を選択し、必要な備品の手配もこなし、当日前には会場設営やリハーサルも総務が主導することになるでしょう。そのほか、報告事項の準備では経理をサポートしながら、決議事項では法務と共同で準備を進める必要があります。
当日は議事録の作成も総務が担当する場合が多いようです。さらに重要な決議があった時には、議事録をもとに変更登記をすることもあります。総務部門はいわば陰の立役者として、最もバックオフィス的な役割を果たすのです。
株主総会では、会社の経営状況を詳細に報告し、株主の疑問には可能な限り納得できる答えを提示する必要があります。事前準備はバックオフィスを中心に進められますが、部門ごとに担当する業務はさまざまです。しかし、部門を越えて取り組むべき準備も数多くあります。株主総会を成功に導くのは、部門どうしの協力態勢にかかっているといえるでしょう。
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