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2022年11月号「投資環境レポート」

回復に向かう日本経済の注目点

提供元:野村アセットマネジメント

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野村アセットマネジメントでは、毎月、世界経済や金融市場の注目点を投資環境レポートとしてお届けしています。

11月の投資の視点は、「回復に向かう日本経済の注目点」です。

<注目点>

●当面の日本経済はサービス消費の回復と設備投資によって支えられるだろう。円安の負の側面への警戒は残るが、今後はインバウンドの回復を後押しするというベネフィットの表出もある程度期待できる。

●日銀は「持続的・安定的」な物価安定目標達成には賃金上昇を要するとしている。金融市場では政策調整観測が燻り続けているが、春闘における賃上げ動向がその是非を占う鍵になろう。

●やや長い目で見れば、人口減少社会の中で経済成長を担保するには、イノベーションと人材のリスキリングが鍵とみられ、政策効果の発現が期待される。

日本経済の回復

欧米主要先進国と比較して、コロナ禍からの景気回復が遅れている日本だが、「ウィズ・コロナ」が一段と浸透するのであれば、2023年にかけて潜在成長率を上回る高めの成長が続くだろう。

特に2022年10-12月期には政府の観光需要喚起策である全国旅行支援の後押しを強く受け、サービス消費の増加が期待される。水際対策の緩和も相俟って、宿泊・飲食業を中心とするサービス業に恩恵が及ぶだろう。また、日銀短観では強い設備投資計画が示されている(図2参照)。これまで供給制約によって先送りせざるを得なかった投資、グリーン化・デジタル化や省力化のための投資など、当面、設備投資の堅調な推移が見込まれる。

これまで出遅れていた分、景気回復余地が残っていること、そして金融引き締めを急ぐ欧米主要国・地域とは異なり、日本では緩和的な金融環境となっていることなどを勘案すると、主要先進国の中では相対的に高めの経済成長率となる可能性が高い。

円安のベネフィットとコスト

金融市場においては、急速に円安が進んできた。過去のデータを基に分析すれば、円安は、輸出の増加とインバウンドの拡大に繋がり、また、円建て企業収益を押し上げることで、企業の設備投資を増加させるといったポジティブな面が示唆されやすい。しかし、今回の局面では、感染症による供給制約が輸出増加を、水際対策がインバウンド増加を阻害した。一方で、ロシアのウクライナ侵攻を一因とした国際商品価格の高騰に加え円安などが輸入物価を押し上げ、家計や企業はコスト増に直面した(図3参照)。そのため、円安のベネフィットが小さく、コストが強調される傾向が目立った。

ただし、先行きについてはベネフィットの表出もある程度期待できるだろう。グローバルで「ウィズ・コロナ」が一段と浸透すれば、水際対策の緩和による旅行需要が高まり、円安がそれを後押しする可能性がある。2019年に3,188万人だった訪日外客数は、コロナ禍によって2021年には25万人まで減少した。中国が厳格なコロナ対応を維持する間、中国からの訪日外客数の急回復は見込みがたいものの、2021年対比では明確な回復が生じよう。

また、2022年の円安の主因が日米金融政策格差・金利差、エネルギー高による日本の貿易赤字拡大にあるとすれば、2023年には円安圧力が緩和されるかもしれない。2023年前半、2022年の急速な利上げの効果が出て、米国経済は失業率の上昇を伴うマイナス成長となり、インフレ低下に寄与することで、利上げ停止が視野に入るだろう。その際、それまでの米ドル高の修正が起き、円安警戒論が後退すると考えられる。米連邦準備制度理事会(FRB)を含む主要中銀の利上げの到達地点(ターミナルレート)に対する金融市場のコンセンサスが強固になれば、為替相場の変動は落ち着いていくだろう(図4参照)。

2022年11月号「投資環境レポート」の続きは、こちらからご覧ください。

当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。

(提供元:野村アセットマネジメント)

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