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「同期なのに受給開始年齢が違う!」60歳会社員の怒りを生む年金制度のカラクリ

年金の「未来」を前提に資産形成を考える必要がある(イメージ)

年金の「未来」を前提に資産形成を考える必要がある(イメージ)

 公的年金の「世代間格差」については様々な指摘がされてきたが、最もわかりやすいのは「受給開始年齢」の違いだろう。今年60歳を迎える男性会社員Aさんが憤る。

「私が年金を受け取れるのは65歳からです。それまでの5年間は、元部下が上司となる再雇用の職場で食いつないでいこうと思っています。腹立たしいのは、同じ会社の5つ上の先輩から、“俺たちの世代は62歳から年金がもらえた。お前たちは大変だな”と言われたこと。年齢が少し違うだけで、なぜこんなにも年金をもらえる歳が違うのか」

 Aさんが怒りを向けるのは60代前半に受け取ることができる「特別支給の老齢厚生年金」の制度である。生年月日と性別によって受給開始年齢が異なり、今年60歳を迎えるAさんと同世代以降(1961年4月2日以降生まれ)の男性は、受け取ることができない。一方、Aさんより5歳年上の1956年度に生まれた人の場合、62歳から報酬比例部分を受け取ることができる。

「同期入社でも1浪していて、ひとつ年上の奴は64歳から受け取れるという。なんだか納得できません」(Aさん)

 その不満はもっともだが、今後、こうした世代間での年金を巡る不公平は、さらに拡大することが懸念されている。『週刊ポストGOLD 2021改訂版 あなたの年金』より、そのポイントを紹介する。

 2021年4月に「70歳就業法(改正高年齢者雇用安定法)」がスタートしたが、次に控えるのは、現行制度では65歳となっている「年金受給開始年齢」の引き上げだと考えられる。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。

「歴史を振り返ると、企業の定年と、年金の受給開始年齢はセットで引き上げられてきた。企業に対して70歳まで就業機会を提供する努力義務を課すということは、当然、年金の『70歳受給開始』への移行を見据えていると考えられます」

「定年」と「年金受給開始年齢」の歴史

 改めて「定年」と「年金受給開始年齢」の歴史を振り返っておきたい。

 日本の公的年金のルーツは1939年に始まった船員保険にある。1942年に労働者年金保険が創設され、1944年に厚生年金保険と名称が改められた。当初の受給開始年齢は「55歳」だった。

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