ヤマハは、ハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」シリーズの新製品として、デザインや回路構成を一新した7.1chモデル「RX-A2A」を4月14日に発売する。価格は88,000円。カラーはブラック。4K/120Hzパススルーなどのゲーミング機能にも今後のファームウェア更新で対応する予定。

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    RX-A2A

ヤマハのAVアンプは、型番にRX-Vがつく買いやすい価格帯の「RX」シリーズと、“音と臨場感の本質に徹底してこだわった”というハイクラスの「AVENTAGE(アベンタージュ)」シリーズの2種類がある。今回の「RX-A2A」は、現行のAVENTAGEシリーズの中では10万円を切る“エントリーモデル”という位置づけ。

デザインを一新した本体には、黒鏡面仕上げの前面パネルを採用し、中央に大型ボリュームノブを配置。ボリュームノブの表面はスピン加工を施したアルミ素材を使い、グリップ部分にシボ加工を施すことで高級感と上質な手触りを実現した。

前面ディスプレイには高解像で見やすいフルドット液晶表示を採用し、日本語表示にも対応。情報を表示していないときには黒鏡面と同化し、操作時にはボリュームや入力コンテンツといった重要な情報を大きく表示する。

AVENTAGE基準の高音質設計

本体底面の中央に円錐形のレッグを装着。AVENTAGEシリーズの音づくりを象徴する、アンチレゾナンステクノロジー(Anti Resonance)思想に基づいた“5番目の脚”としてはたらき、シャーシの共振を効果的に分散・抑制。電源トランスが発するわずかな振動も徹底して抑え込むことで「透明感に満ちたボーカルやキレのあるベース、そして深々と広がる自然な音場」を実現するという。本体のサイドパネルやボトムシャーシにはリブ・押出し加工を施し、天面部はスチールとABS素材を組み合わせた二重構造とすることで、制振性や剛性を高めた。

ハイスルーレート・パワーアンプを搭載。信号を正確に伝送することができ、特にハイレゾリューションオーディオ信号に適しているという。一般的なハイスルーレートアンプでは信号の伝送が不安定になることがあるが、ヤマハでは新設計の回路により、ハイスルーレートで安定した信号伝送を追求。従来モデル比でスルーレートが約2倍以上になり、同社の最上位セパレートアンプ「MX-A5200」と同等レベルの性能に仕上げたとする。

他にも、大型電源トランスや専用設計の大容量ブロックケミコンなど、AVENTAGE基準でセレクトした高品位パーツを採用。「長時間の視聴でも聴き疲れしない音質を基本としながら、力強く安定感のある低域再生と細部まで忠実に再現する品位ある音を追求した」という。

Dolby Atmos&DTS:X対応、4K/120Hzパススルーもサポート

立体音響のDolby AtmosとDTS:Xに対応したデコーダーを搭載。Dolby Atmos Height Virtualizerにも対応しており、ハイトスピーカーを設置していない5.1ch、7.1ch環境でも、高さ方向を含むサラウンド音声を再現できるという。

ヤマハ独自の音場創生技術「シネマ DSP」を活かし、映画や音楽、テレビ放送、ゲームなどさまざまなソースに合わせて最適化した17種類のサラウンドプログラムを搭載。内蔵パワーアンプの2ch分をフロントプレゼンススピーカー、またはサラウンドバックスピーカーに割り当てるアサイン機能を使い、実物のプレゼンススピーカーを使った「シネマDSP(3Dモード)」再生にも対応する。

視聴環境最適化システム「YPAO-R.S.C.」も装備。最大8カ所の計測結果を元に調整精度を高めるマルチポイント測定、室内の初期反射音を制御して左右スピーカーの設置環境の違いによる音質、音場の隔たりなども補正し、「専用施工されたシアタールームで聴くような臨場感を手軽に楽しめる」とする。

HDMI端子は7入力1出力を装備。HDR10+映像の伝送や、HDCP2.3、4K/120Hz 4:4:4 映像信号のパススルー、4Kアップスケーリングに対応するほか、オーディオ面ではARCに加え、ロスレス音声やオブジェクトオーディオを伝送できるeARCをサポート。さらに、以下のゲーミング専用機能にも対応する。

  • ALLM(Auto Low Latency Mode)
    コンテンツに応じて画質優先/低レイテンシー優先を自動的に切り替える
  • VRR(Variable Refresh Rate)
    映像ソースとディスプレイのリフレッシュレートを同期してチラつきを抑制
  • QMS(Quick Media Switching)
    画面のブラックアウトや表示の乱れを防いで素早くコンテンツの入力を切り替える
  • QFT(Quick Frame Transport)
    映像ソース機器からの伝送速度を上げてレイテンシーを低減

4K/120Hzパススルー(HDMI 1~3のみ対応)や、HDR10+、ALLMなどのゲーミング機能は、今後のファームウェア更新で対応予定。現時点では、一部の次世代ゲーム機器からの4K/120Hzなど最新の映像信号をAVアンプに入力すると、映像や音声が出力されない問題があるとしており、対応を検討しているという。ただし、次世代ゲーム機の音声信号をRX-A2Aに直接入力するのではなく、eARC対応テレビを経由してRX-A2Aに送ることで、4K/120Hz映像と音声を楽しむことはできるとのこと。

音楽再生機能も充実

音楽再生機能も備え、最大384kHz/32bitまでのPCM音源(32bit-floatファイルは非対応)とDSD 11.2MHzの再生が可能だ。音楽配信サービスのDeezer HiFi、Amazon Music HDが利用でき、Spotify Connectにも対応している。独自のワイヤレスネットワーク機能「MusicCast」に対応。そのほか、Amazon AlexaやSiriによる音声操作、AirPlay 2もサポートする。

IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠((2.4GHz/5GHz)の無線LAN機能を搭載。Bluetooth機能も備え、対応コーデックはSBCとAAC。4系統のアナログ音声入力(RCA)と、光/同軸デジタル入力を各1系統装備する。ワイドFM対応のFM/AMチューナーも備える。消費電力は360W。本体サイズは435×372×171mm(幅×奥行き×高さ)、重さは10.2kg。