長崎市の被爆者手帳 所持者数が2万人割れ 県と市の合計、ピーク時の25%以下

 長崎市が交付する被爆者健康手帳の所持者数が、2023年度末で1万8904人(男6560、女1万2344)となり、前年同期から1713人減って2万人を切ったことが30日、分かった。県交付分と合わせると2万5966人(前年同期比2373人減)で、ピーク時の1978年度末の4分の1以下となった。2025年に被爆80年が迫る中、被爆者の減少が進んでいる現状が改めて浮き彫りとなった。
 23年度末の県交付分は7062人(男2569、女4493)で、前年同期から660人減少。県市の所持者数は1978年度末(11万716人)にピークを迎えた後、減少が続く。ここ数年は、おおむね年間2千人前後のペースで減っており、本年度内にも2万5千人を切る可能性がある。
 平均年齢は、市交付分が85.51歳、県交付分が85.87歳。いずれも85歳を上回った。厚生労働省によると、全国の手帳所持者数は2022年度末時点で11万3649人。
 被爆者健康手帳の交付は1957年度、旧原爆医療法の施行で始まった。被爆地の長崎、広島両市や各都道府県が、直接被爆や入市被爆、胎内被爆などに該当すると認めた人に交付。所持者は医療費や健康管理手当などを受給できる。
 一方、国指定地域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」については、年1回の健診が受けられる「第2種健康診断受診者証」の所持者数が県市合わせて5237人(前年同期比441人減)。このうち、特定の疾病に限り医療費が支給される「被爆体験者精神医療受給者証」の所持者は県市合わせて4501人(同267人減)だった。

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