ICTで地域活動を活性化 長崎大が研究プロジェクト 自治会などの担い手不足解消へ

今後の進め方などを確認したコアメンバーの初会合=長崎市文教町、長崎大

 人口減少などで地域コミュニティー活動の衰退が懸念される中、長崎大の総合生産科学域(木村正成学域長)と人文社会科学域(西村宣彦学域長)は本年度からの2カ年、長崎市内で情報通信技術(ICT)を活用した支援システムを試作し、担い手不足解消と活動活性化を目指す研究プロジェクトに取り組む。
 35年前は90%台だった市内の自治会加入率は、活動への負担感や人間関係の希薄化を背景に63.8%(昨年4月1日現在)に減少。自治会やPTAなど各種団体で構成する地域コミュニティ連絡協議会の設立も進むが、西村学域長によると、情報の共有化や担い手が固定化するなど課題を抱えるという。
 同プロジェクトではICTを活用して地域での情報の共有化や負担の軽減を図り、既存イベントへの参加呼びかけもしながら、仕事や子育てで忙しい現役世代が参画しやすい環境づくりを推進する。
 人文社会科学域の経済学部が地域住民と課題を抽出し、総合生産科学域の情報データ科学部がICTを活用した支援システムを試作する文理融合の取り組み。市内に拠点を置くIT企業シーエーシー(東京)、地域住民と町をより良くする仕組みづくりを考える事業に取り組む「つくるのわデザイン」(長崎市)が協力する。
 初年度は複数のパイロット地区を選び、地元住民と課題を抽出して解決策を考えるワークショップを実施。これらを基に、2年目に支援システムを試作、地域で試用してもらい、効果を検証する。
 コアメンバーの初会合が22日に市内であり、今後の進め方などを確認した。代表者を務める木村学域長は取材に「社会が変化する中、大学が分野を横断して取り組むことで斬新な技術革新を進め、課題解決に貢献できれば」と語った。
 プロジェクトはトヨタ財団(東京)の「2023年度イニシアティブプログラム」に採択された。

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