英国南西部で、魚竜と呼ばれる巨大な海生爬虫類の化石が見つかった。約2億500万年前に生きていたもので、4月9日付けの科学誌「PLOS ONE」に掲載された論文によると、体長は最大で25メートルほどと考えられている。この化石の主はシロナガスクジラに迫る大きさということだ。
生物の教科書には、昔からシロナガスクジラが史上最大の動物だと書かれている。しかし、これほど巨大な魚竜がいたのなら、さらに大きな生物が地球の海を泳いでいたのかもしれない。(参考記事:「【動画】シャチが集団で巨大シロナガスクジラに体当たり」)
魚竜とは
恐竜の時代、イルカのような姿をして海で暮らしていた爬虫類が魚竜(イクチオサウルス)だ。魚竜の種の数がもっとも多くなったのは三畳紀後期の2億1000万年前ごろだが、その後も白亜紀後期まで生き延びたものもいた。しかし、魚竜は(鳥類以外の)恐竜より2500万年早く絶滅したとされる。(参考記事:「インド初、ジュラ紀の魚竜化石を発見、ほぼ完全」)
ほとんどの魚竜は、今回見つかった生物よりもかなり小さい。今まで英国から見つかっている何種類かの魚竜は、1.5から3.3メートルほどの大きさしかない。(参考記事:「1億7000万年前の「極上」魚竜化石を発掘」)
どのようにして見つかったのか
2016年5月、論文の共著者の1人で、独学の化石ハンターであるポール・デ・ラサール氏は、英サマセット州リルストックの海岸を調べていた。そのとき見つけたのが、謎の巨大化石だ。魚竜かもしれないと考えたラサール氏は、英マンチェスター大学のディーン・ロマックス氏と米ニューヨーク州立大学ブロックポート校のジュディ・マザリー氏という2人の海生爬虫類の専門家に画像を送った。(参考記事:「大きな魚竜と新種の首長竜、博物館で見つかる」)
さらに詳しく捜索した結果、組み合わせると1メートルほどになる5つの化石片が見つかり、魚竜の下あごの部分であることがわかった。この骨の大きさから、この化石は今まで知られている中で最大の魚竜ではないかと考えられている。
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