人間と同じように、森も、少しのコーヒーで動きが活発になるようだ。
コーヒーの生産過程で取り除かれるコーヒーパルプが、コスタリカの熱帯雨林をよみがえらせるのに役立つことが実験で明らかになった。3月28日付けで学術誌「Ecological Solutions and Evidence」に研究成果が発表された。
米ハワイ大学マノア校の研究チームは、森林伐採された土地にコーヒー廃棄物がどんな影響を与えるかを調べるため、草に覆われた2つの区画を用意。片方のみに約50センチの厚さでコーヒーパルプを敷き詰めた。
2つの区画はともに、コーヒー栽培や牧牛に長く利用された後に放棄された土地で、外来種の牧草が生い茂っていた。放牧されている動物が食べ続けなければ、高さ5メートル近くまで成長する草で、もともとあった熱帯雨林の再生を妨げていた。
実験開始から2年後、コーヒーの力を借りた区画で劇的な改善が見られた。区画の80%が若い木々に覆われ、すでに樹高4.5メートルに達している木もあった。もう一方は、区画の20%にしか木が生えていなかった。さらに、コーヒーで勢い付いた区画は樹高がもう一方の平均4倍に達し、土壌は栄養分に富み、外来の草も排除されていた。
論文著者の一人であるハワイ大学マノア校の生態学者レベッカ・コール氏は、コーヒー生産者にとって持続可能な廃棄物の処理方法となるだけでなく、破壊された森林を取り戻すスピードを速めることができると述べている。
「まさにウィンウィンの状況です」とコール氏は話す。「熱帯林の再生には何百年もかかります。わずか2年で(これほど)高い木ができるのは本当に驚くべきことです」
コーヒーパルプの長期的な影響や、予想外の汚染を引き起こす可能性については、さらなる研究が必要だとコール氏は認めている。それでも、「まさにカフェインを摂取した森のようでした。私はとても有望だと考えています」
コーヒー廃棄物を活用
コーヒーの実は「コーヒーチェリー」と呼ばれ、鮮やかな赤や黄のサクランボに似ている。コーヒー豆を得るには、この実から皮やパルプなどを取り除かなければならない。その後、乾燥と焙煎(ばいせん)を経て、朝の一杯を抽出できる状態になる。収穫されたコーヒーは重量の半分が廃棄される運命にある。
研究チームの一員で、ハワイ大学マノア校ライアン植物園の園長を務めるラカン・ザハウィ氏によれば、コスタリカでは、コーヒー生産者がすべての廃棄物を保管場所に運び、そこで分解させるのが一般的だという。
ザハウィ氏は2000年代初頭、オレンジの皮を使った同様の森林再生プロジェクトを視察した。
オレンジの皮を敷き詰めた森とそのまま放置した森では、「その差は歴然としていました」とザハウィ氏は振り返る。「天と地ほどの違いがありました」
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