ほかにないアートを生み出す:フォーゴアイランド・アーツ
カナダの東の果てにあるフォーゴ島が、世界の注目を集める観光地になることができた理由の一つに、アートの力がある。
タラ漁という唯一の収入源を失った島を再生するきっかけとなったのは、ジータ・コブの手によるホテル「フォーゴアイランド・イン」であることは間違いない(参考記事)。しかし、最初にジータが着手したのはホテル事業ではなく、アートを「てこ」にした「フォーゴアイランド・アーツ」というプロジェクトだった。
ジータは自分の兄弟と一緒に慈善団体「ショアファスト財団」を設立し、島の住民を対象に芸術関連の教育や研修、留学支援などの活動を始めた。次に島の絶景スポット4カ所にアートスタジオを建設、世界各地からプロのアーティストを招き、数週間から数カ月間、このスタジオに長期滞在して創作活動をしてもらうプログラムを立ち上げた。
スタジオの設計を手掛けたのはフォーゴアイランド・インと同様、ニューファンドランド出身の建築家トッド・サンダース。四つのスタジオはそれぞれ特異な形をしながらも、島の自然と伝統に溶け込むデザインだ。
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たくさんの観光客、住民の幸せ、持続可能という矛盾しがちな課題を、どうクリアするのか。観光大国カナダの事例にヒントをさぐる。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕
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