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森六ホールディングスが導入、主体的な挑戦を応援する新人事制度の全容

森六ホールディングスは2020年4月に新人事制度を導入した。個々の社員に期待する役割に応じて処遇を決める「役割等級制度」では、職群や等級別に自己管理などに関する評価の基準を策定。その内容は社内で公開し、次のステップに向けて何をすべきかを社員が把握しやすくした。

「これまでの職能制度は運用によって年功序列の要素が強くなっていた。経営陣や社員にとっては自らの頑張りと評価のつながりが分かりづらい面もあった」(森川直樹人事部長)という。主体的な挑戦を応援し、そのための行動やプロセスを評価するといった同社の人事ポリシーに基づき、新しい人事制度を設計した。

昇格判定も見直した。従来は過去5年程度の人事評価制度の累積で判断していたが、直近2―3年の評価を重視する方針に変更。短期間で昇格できるようにしたことで、社員が管理職に就く年齢が平均で4歳程度若返ったという。「『若手に任せてもよいのではないか』と考える上司が増えている」と、森川人事部長は手応えを感じている。

管理職層については「マネジメント」と「スペシャリスト」の2コースを設置。個人の適性や能力に合わせ、管理職に就くか専門性を磨くかを選択できるようにした。

マネジメントとしてのキャリア形成が前提だった旧制度と比べ、より柔軟なキャリア形成が可能になった。「どちらのコースを進むかを最終的に判断するのは会社だが、自律的な社員を育てたい」(森川人事部長)。

一方で、年2回だった人事評価の機会は年1回に減らした。上司が評価作業をする負担を減らす代わりに、部下と十分に対話する機会を確保するのが目的だ。

同社はグローバル企業として経営基盤を一層強固なものにし、変革を加速させようとしている。そのためにもまずは社員が働きやすい環境整備が欠かせず、今後も女性の活躍推進、育児や介護と両立しやすい職場環境に向け、制度の見直しを進める考えだ。

日刊工業新聞2021年11月2日

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