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製薬メーカーたちが研究開発費を大幅に増やす背景

製薬各社は好調な業績を背景に研究開発費を大幅に増やす。武田薬品工業は2023年3月期に前期比8・3%増、第一三共は「三つの抗体薬物複合体(ADC)の製品価値の最大化を目指し集中投入する」(真鍋淳社長)として同20・8%増の資金を投じる。新薬の研究開発には長い期間と多額の費用が必要。各社は今後も継続的な投資を惜しまない。

製薬8社の23年3月期連結決算予想は7社が営業増益を予想。医療費削減のため毎年見直される薬価改定が収益の圧迫要因となる一方、国内外で抗がん剤などの需要が旺盛で販売の伸長を見込む。画期的な新薬の創出に加え、適用対象の拡大も利益を押し上げる。

要の研究開発は各社が戦略投資を打ち出す。武田薬品とアステラス製薬は伸び率は鈍化するものの、重点領域へ積極的に投下。第一三共は新型コロナウイルスワクチンの研究開発を急ぎ、塩野義製薬はコロナ関連で過去最大となった22年3月期からは減少するが投資水準は依然高く「次の成長ドライバーを探す」(手代木功社長)。小野薬品工業も増加基調をより強める。

22年3月期は各社の主力製品が伸びたほか、円安も追い風となり7社が増収、4社が営業増益だった。

日刊工業新聞2022年5月16日

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